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1から読み返す「アルカナ・アルカディア」〜13章「幕があがり、旅がはじまる」〜

ずっと読み進めていなかった「アルカナ・アルカディア」を読了させようの会、今回は13章「幕があがり、旅がはじまる」について。

▼前回

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13章「幕があがり、旅がはじまる」

話数 主な出来事
0.3話「塔」幕間 ・劇フェス脚本第一稿をひかりに手渡す雨宮
・他言無用の役名をななの前でうっかり言うひかり
0.5話「隠者」幕間 ・劇フェス脚本第一稿をまひるに手渡す眞井
・まひると双葉が役名を伏せて互いの役について話し合う
0.8話「女帝」幕間 ・役にプレッシャーを感じたメイファン、晶をモデルに演じようとする
・ミチルの指摘で自分の方向性を改める
1話 ・劇フェス第一回本読み
・「死神」珠緒のアドリブが好評を得る
2話 ・本読みの感想を語る華恋とあるる達
・静羽に出会う「うまくリードしてもらっただけ」
3話 ・本読みの感想を語るあるると美空
・静羽「演者たちが喰らい合う地獄」
・本読みの感想を語る純那となな。やる気に満ちた純那
3.2話「女教皇」幕間 ・ショッピングモールで晶と出会う
・「皇帝」晶がふっかけたエチュードに応戦する「女教皇」純那
・気づけば人だかりが。5歳のえるも観ていた
4話 ・本読みの感想を語る双葉と香子(イライラ)
・珠緒が香子に宣戦布告。香子に火がつく
5話 ・「聡明と執着のレヴュー」純那VS香子
・「いつかあの子(珠緒)と戦うときまで負けない」→香子勝利
5.3話「魔術師」幕間 ・ななとゆゆ子、脚本会議の帰りに珠緒の宣戦布告を知る
・珠緒の覚悟を知り脚本会議参加を諦めるが、ななの助言で思い直す
・役、脚本、そして塁のプロデュースを決意
6話 ・塁、宇梶先生から練習用衣装もらって喜ぶ
・1人自主練していた珠緒に突き放されてしまう
7話 ・戸惑う塁に「もう戦いは始まっている」と告げるゆゆ子
・「塁の出る幕はない、私が引導を渡す」
8話 ・「創造と犠牲のレヴュー」ゆゆ子VS塁
・「私達が先輩の思いを背負って受け継いでいかなければ」
9話 ・「私は舞台の塁が好きだ」
・「いつか珠緒先輩と戦うことになっても」→塁勝利
・ゆゆ子が塁に死神避けの呪文を教える
9.5話「吊られた男」幕間 ・アクションシーン練習に困っていると双葉から誘われる
・塁の芝居が窮屈なのは自分より小柄な珠緒のトレースだからだと見抜く双葉
9.9話「力」幕間 ・神社で珠緒と出会う。香子、塁のことで互いにお礼
・割烹ともゑでランチ。絵本「泣いた赤鬼」を読む
・青鬼になぞらえた珠緒の問いに応えた双葉、役作りのヒントを得る
10話 ・「アルカナ・アルカディア」第一幕
・妄熱病で記憶喪失の少女、医師に助けられる
・女教皇が医師を咎人として捕える
11話 ・医師を投獄する魔術師
・処刑前夜、魔術師は医師にとある呪文を教える
12話 ・医師の呪文で現れた悪魔、女教皇らを焼き消す
・少女は医師に別れを告げ、再び旅に出る
13話 ・希望、信仰、慈善のアルカナについて語るフロンティア一同
・本読み以降レッスン室に来なくなったメンバー、戸惑うあるる
14話 ・審判の役作りに悩む静羽、あるると真っ向対立
・静羽とあるるのレヴュー→あるる「私達は戦わない」
15話 ・美空、ララフィン、つかさ合流。あるるの「最高にハッピーな舞台」を否定
・静羽が荒野の海賊団解散を言い渡し、対戦カード変更「レヴュー・フロンティア」
・あるるは孤児だったことが判明

13章は9話まで/10〜12話/13〜15話の3つのパートに分かれる。

9話までには幕間ストーリーが7本、中には本編の伏線や補完要素も盛り込まれている。

「死神」珠緒の覚悟

いよいよ始動した劇フェス。初回本読みで魅せた「死神」の演技と、演じる珠緒の覚悟が周囲に大きな影響を与える。絶対王者の晶や主席の真矢にも引けをとらない珠緒の演技に、このままじゃヤバいと感じた者が多数。

この劇フェスを美空は「怖い」と言い、静羽は「地獄」だと言う。一方であるるは「楽しくてハッピーな舞台」になりそうだと思っていた。「"未知なる主役"をめぐって喰らい合う」「みんなと楽しく舞台を創っていく」劇フェスに対する意識の違いが明るみに出はじめる

香子への宣戦布告

「死神」珠緒の演技を見せつけられイライラしていた香子に、珠緒が直接やってきて堂々と宣戦布告。凛明館演劇科を再興させるべく、劇フェスで頂点に立つのは凛明館だと宣言。

日本舞踊の同門でいつも自分の後ろをついてきてると思っていた香子は、噛み付いてきた珠緒に受けて立とうとする。

一方で、珠緒は双葉に対しても揺さぶりをかける。「泣いた赤鬼」の赤鬼・青鬼*1になぞらえ、双葉(青鬼)は主役を奪いにいかなくていいのかと問われるも、"香子が頂点に立つところを一番近くで支えたい"という信念をさらに強固なものにした。

ここで双葉は「1人よりもみんなで創る舞台」の可能性を信じていることがわかる。

レヴュー

13章のレヴュー曲は「信じる者に門は開かれる」。純那、香子、塁、ゆゆ子の4人で歌唱。

全員が珠緒に影響を受けている。香子も塁も、珠緒と刺し違える覚悟を決めレヴューに勝利した。純那も珠緒の演技に刺激を受けていたし、ゆゆ子も珠緒の演劇科再興にかける熱意を知って塁に発破をかけた。

聡明と執着のレヴュー

5話で始まった最初のレヴュー。珠緒と香子のバチバチの後だったので、初見では「え、この組み合わせ?」と意外に感じた。この2人、さほど絡んでないしレヴュー中も噛み合ってないw

「未知なる主役」を目指して、不確定な未来を確実にするために「今」の積み重ねを大事にしていくと宣言する純那。実にひたむきで優等生的である。

一方で「未知なる主役」とかどうでもいい香子は、珠緒に噛みつかれたイライラを募らせる。自分を差し置いて珠緒が「未知なる主役」になるのは許せない、珠緒と戦うまでは負けられんと言ってレヴューに勝つ。

女教皇の正位置が「聡明」、悪魔の正位置が「執着」。アルカナと舞台少女がリンクするレヴュー。5歳のえるが戯曲を書き出し、いよいよ始まった感がある。

創造と犠牲のレヴュー

8話〜9話のレヴュー。大好きな珠緒に突き放され困惑する塁に、凛明館再興への戦いは既に始まっていることを告げるゆゆ子。共演者を斬り伏せ自分が主役になる、そんな覚悟もできてない塁の出る幕はない!と言ってレヴューに持ち込む。

1年生同士の塁とゆゆ子。どちらかといえば塁がゆゆ子の面倒をみてるイメージがあったので、ゆゆ子がこんなにもしっかりしてることに初見では驚いた。でも、5.3話の「魔術師」幕間を後から読んで納得した。

先輩たちはやがて卒業する、だから演劇科再興という大きな使命を私たちは受け継いでいかなければならないと言われ、1年生の自分には荷が重いと弱気になる塁。塁と同じく入学後に舞台を始めたなな*2のことを引き合いに出し、誰もが羨む舞台映えする体躯を持ちながら甘ったれるなと喝を入れるゆゆ子。

もう崖っぷち、この期に及んでも珠緒珠緒言ってる塁にゆゆ子は苛立ちつつ「私ね…塁のお芝居好きだよ」と切り出す。このシーンのゆゆ子の声色が最高。

「塁が珠緒先輩を大好きなように、私も塁、舞台のあんたが大好きなんだよ」

珠緒がいないと演じられないなら、舞台の塁に魅せられた私たちが惨めじゃないか…と涙ながらに訴えるシーンは特大の愛を感じた。尊すぎる…。

ゆゆ子の言葉が響いて塁は目覚める。珠緒に憧れて入った舞台の世界、塁にとっての舞台は珠緒。でも珠緒と出会い舞台に立つことの楽しさを知ってしまったから、たとえ珠緒と戦うことになっても舞台をやめない!と決意してレヴューに勝利する。まさに「魔術師」幕間で言っていた、「塁のプロデュース」に成功したといえる。

「アルカナ・アルカディア」

10~12話の劇中劇は「B組が作成した劇フェス脚本の最終稿」に相当するのか?本読みの時点ではタイトル未定となっているが、後に「アルカナ・アルカディア」と名付けられ、本番で披露されたのがこのパートと思っていいのだろうか?

未来のえるが書く「戯曲【A】(仮題)」は、この演目および劇フェスに情熱を燃やす舞台少女たちのキラめきを浴びた結果生み出される新しい戯曲であり、「戯曲【A】(仮題)」≠「アルカナ・アルカディア」だと思っているが、このえるが描いたと思しき絵はどう解釈すればいいのだろう?単純に、えるが劇フェスの舞台を観て描いた絵なのだろうか。

第一幕

  • 女教皇︰星見純那
  • 悪魔︰花柳香子
  • 吊られた男︰秋風塁
  • 魔術師︰田中ゆゆ子

記憶喪失の少女が目覚めるところから始まる第一幕。登場人物はすべてシルエットで表現されているが、少女だけはシルエットがない。まぁたぶん「える」なんだろうなぁと思いつつ、この旅が今後どうなっていくのか気になる。

ところで魔術師(ゆゆ子)が医師(塁)に悪魔召喚の呪文を教えたくだり、「創造と犠牲のレヴュー」決着後にゆゆ子が塁に死神避けの呪文*3を教えるのとリンクしている気がした。

召喚された悪魔(香子)は女教皇(純那)を焼き殺すし、魔術師(ゆゆ子)は吊られた男(塁)のために命を差し出して死ぬ。これはもしやレヴューの勝敗ともリンクしているのだろうか?

不穏なフロンティア

そして2~3話と13~15話でフロンティアの面々が不穏である。これは次章への引きになっているっぽいな…。

13話の和気あいあい感から一転、本読みを経てからの2~3話、そして14~15話はさらにギスギス。ファミリーで、みんなで最高でハッピーな舞台を創りたいあるるは、自傷しかけてまで自分を追い込もうとする静羽に困惑。

「劇フェスの舞台は地獄、生半可な気持ちで上がれば舞台に殺される、だからみんな1人で向き合っている」

「私たちはファミリー、どうして1人でやろうとするの?みんなで一緒に進もうよ!」

すれ違う気持ち。このままあるると静羽のレヴューが始まるかと思いきや、そこでルール変更を言い出しちゃうのがまたあるるらしい。しかし3人合流後、あるるだけが孤立してしまう構図に…

フロンティアはしばしば「オズの魔法使い」を引き合いに出すが、ここでも以前あるる(ドロシー)が4人に与えたものに触れるセリフが登場する。

  • 美空(トト):あんなに自信満々で私が進むべき道を照らしてくれた
  • ララフィン(ブリキの木こり):大切なものを大切だと言い切る心の強さをくれた
  • つかさ(藁のかかし):最善を求め考え続ける大切さをくれた
  • 静羽(臆病なライオン):傷つくことを恐れない勇気をくれた

「家族になったみんなと戦うくらいなら、未知なる主役なんてならなくていい」「みんながいなくちゃ、舞台がなくちゃ、自分には何もない」と閉じこもるあるるに対し、「あるるが掘り起こしてくれた私達の勇気と覚悟、今度は私達があなたのきらめきを掘り起こす」と言う4人。10章「自称、舞台少女」であるるが4人を導いたが、今回はその逆の展開になりそうだ。

あるるの過去

そんな15話ラストのモノローグで、あるるが孤児だったことが判明。美空の劇団が孤児院で劇を上演したのがきっかけで、あるるは舞台に魅せられたという。

天真爛漫でいつもみんなを引っ張ってきたあるるはこの事態をどう乗り越えるのか…というわけで14章へ続く。

*1:浜田廣介の児童文学。人間と仲良くなりたい赤鬼のために親友の青鬼がひと芝居打ち、赤鬼は人間と仲良くなる。芝居だとバレぬよう青鬼はそのまま赤鬼のもとを去り、それを知った赤鬼は泣いてしまう。珠緒はこの青鬼の行為を「優しさと言う名の毒」と評した。

*2:ここでななのことを話題にしたのも、「魔術師」幕間で2人が脚本会議に参加してたからなんだなぁと

*3:落語「死神」からの引用。病人の足元にいる死神に「アジャラカモクレン テケレッツのパー」と呪文を唱えると退散させることができる。