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1から読み返す「アルカナ・アルカディア」〜14章「さまよえる少女たち」〜

ずっと読み進めていなかった「アルカナ・アルカディア」を読了させようの会、今回は14章「さまよえる少女たち」について。

▼前回

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書こう書こうと思いながら1年経ってしまった…嘘だろ…

14章「さまよえる少女たち」

話数 主な出来事
0.1話「運命の輪」幕間 ・人間でない役の演じ方に悩む華恋
・あるると遊園地のサイクルモノレールを漕ぐ
・外側から客観的に見る芝居に行き着く
0.9話「戦車」幕間 ・第一稿と第二稿で戦車のキャラが変貌していることに困惑する栞
・栞が馬場で乗馬中、まひるに助けられる
・姉と妹、それぞれの立場から心を通わせた2人は「戦車」のセリフを練習
1話 ・「アルカナ・アルカディア」第二幕(劇フェス第二回本読み)
・「戦車」栞が蹂躙する街、嘆く「恋人」クロ、天上から見ている「運命の輪」華恋と「力」双葉
・「法王」ミチルを嘲る「節制」文、戦車が教会を襲うのを見る「死神」珠緒、「月」あるるは出番が遅れる
2話 ・珠緒と文の演技について語る晶
・第二稿は演じやすかったと話す華恋たち
・あるるやフロンティアの様子がいつもと違うと感じる華恋
2.6話「恋人」幕間 ・役作りのために話題の恋愛映画を観に行くクロ
・同じ映画が退屈だったとぼやくララフィンに遭遇し、カフェで話す
・普段観ない恋愛映画にも手を出したこと「失敗も選択肢の一つ」
3話 ・鍵開け当番で聖翔に行った華恋、あるるをみつける
・舞台が自分と家族を繋いだのに、皆に拒絶されたら舞台は創れないと号泣
・あるるの失くしたものは「運命の舞台」で、自分でみつけなくちゃ
4話 ・「信念と混沌のレヴュー」華恋VS双葉
・香子が未知なる主役になるのを一番近くで見たい、その道を自分が露払いして切り拓く
・「死神が悪魔に火を付けた」
5話 ・あるるを見て新たな予感を感じたのに、この舞台を捨てようだなんて許せない
・「あの子(あるる)とこの舞台で演じたいから!」→華恋勝利
・筆が進むえるを心配するアンドリュー
6話 ・珠緒と文の演技に刺激され、「エリュシオン」の練習をしだす晶とミチル。
・今は劇フェスに集中しろと忠告するミチル
・「晶なら立てるよ、学生演劇の頂点に」
7話 ・ミチルが卒業後も見据えて劇フェスの頂点に立たせようとしているのを知る晶
・晶は「エリュシオン」の舞台で燃え尽きたい、死にゆくからこそ命ある今大きく燃え上がる
・「それって舞台少女として死んでない?」
8話 ・やちよと自主練する栞。珠緒に全部持っていかれると焦るあまり疲れてしまい休憩
・栞入学時の回想︰一緒にシークフェルトの舞台に立てることを喜ぶ文
・「もっと強くならないとあの人(珠緒)から文を取り返せない、どうしたら振り向いてくれるの?」
9話 ・「狭窄と突破のレヴュー」栞VSミチル
・「未知なる主役になってあの人(珠緒)を倒せば、きっと文はあの日の約束を思い出す」
・「未知なる主役に興味はない。晶を未知なる主役にすることが私の役目」
10話 ・「私は戦車、約束の舞台に向かって全てをなぎ倒し進む鉄の塊」
・とどめを刺す寸前で力尽きる栞、自ら上掛けを落とすミチル「死せる舞台少女は私だった」
・えるが泣く。胸が苦しいと言いながら止まらぬ筆
11話 ・(「アルカナ・アルカディア」第二幕)
・戦争が始まり、少女は海沿いの街で従軍看護婦として働く
・兵士たちに優しく声をかける法王に、自分を救った医師の姿を重ねる少女
・戦車が乗り込んでくる
12話 ・法王は荒ぶる戦車に神の愛を説き、砲塔に月見草を挿す
・戦車は話に耳を傾けたフリして法王を殺し、少女も死にかける
・運命の輪と力「結果は初めからわかっていた、何度繰り返しても同じ事…それが運命」
13話 ・死にかける少女「私の旅はまだ終わってない」
運命の輪が持つ砂時計が震え逆さまに→再起する少女
・運命の輪と力「死するはずの運命を書き換えて新たな物語を始めた」「あの少女はまさか…」
14話 ・アンドリューがマスターを務めるバーにいるミチル
・晶を未知なる主役にしようとして、自分が舞台に立ててなかった
・アンドリューとえるる、ミチルにえるを助けてと頼む
14.9話「信仰」幕間 ・ミチル、美空の劇団の舞台見学に訪れる
・晶のこと何もわかってなかった、盲信に狂った哀れな法王…
・エチュード、「法王」ミチルが問いかける。あるるに勝たなくちゃなれない主役があると言う「信仰」美空
14.999話「法王」幕間 ・「永遠の戯曲を守る」ため、舞台作りや裏方について知ろうとななに接触
・ミチルはアンドリューの店の常連、でもいつからだったか思い出せない
・あの店は「舞台裏」で、舞台がミチルを呼んだのでは
・劇団【A】を創る決意をしたミチル
15話 ・カプセルトイコーナーで悪態をつくあるる、迎えにくる美空
・舞台には仲良しだけじゃ作れない世界がある
・「あるる…私があんたを倒す!レヴュー・フロンティアの開演だよ」

14章も区切るとすれば5話まで/6話〜10話/11話〜13話/14話〜15話といった感じだろうか。

珠緒と文に影響された者たち、そしてキラめきを失ったあるるを呼び戻そうとする者たちのあれこれが描かれる。

「戦車」栞の新境地

序盤で目を見張るのは栞の「戦車」の演技。儚げでか弱い栞がこれまで演じてきた役柄とは大きく異なり、荒々しく激しいキャラクター。劇中では「ヒャッハー系」と言われ、普段の栞からは想像できない変貌ぶりに驚かされる。本人も緊張したのか、本読みのあとに晶とミチルの前で雄叫びをあげるほどw

0.9話「戦車」幕間によると、第一稿での「戦車」は凛々しい勇者の姿で描かれていたそうだが、第二稿でこのヒャッハー系に変わったそうだ。この大幅変更に栞は困惑したが、まひるとの関わりによって自信をつけていった。

妹がいるまひると、姉がいる栞。「妹は姉の背中ばかり見て振り返ってもらえないから損だ」と言う栞に対し、まひるは「姉は立ち止まれないから、前を向いて向かい風を受けてるから損だ」と説く。追ってくる者のために最高の自分でいなければならない姉、今の文がまさにそうである。

文との約束

夢大路姉妹の約束

「文がフラウ・プラティーン、栞がフラウ・ザフィーアとして、誰も観たことのない夢の舞台を創る」――かつてシークフェルトにいたときの文が、入学したばかりの栞と交わした約束。

病弱な栞だが、それでも姉との夢を叶えるべくたくさんの努力をしてきた。なのに今の文にはどうにも珠緒の影がちらつく。どうしたら約束を思い出してくれるのか、自分に振り向いてもらえるのか、モヤモヤする栞。

珠緒と香子は互いにバチバチしてるが、栞は文をめぐって一方的に珠緒を敵視しているような印象を受ける。

珠緒を敵視する栞

レヴュー

14章のレヴュー曲は「命尽きても尽き果てず」。華恋、双葉、ミチル、栞の4人で歌唱。


信念と混沌のレヴュー

4〜5話のレヴュー。香子が「未知なる主役」になるのを一番近くで見たい双葉と、舞台から逃げたあるるを連れ戻したい華恋。これまた思いの対象が異なる者同士の対決。

13章で香子が珠緒に宣戦布告され、さらに双葉も揺さぶりをかけられたが、香子の「青鬼」として道を切り拓く決意を固めた双葉はフルスロットルで華恋へ立ち向かう。

つゆ払いに燃える双葉

押される華恋だが、双葉の「道」という言葉にハッとする。

戯曲【A】にワクワクしていたあるるに新しい予感を期待したのに、そのあるるが舞台を捨てるなんて許さない。いつかあるると戦いたい、舞台への道は私が照らすから自分の足で舞台へ戻ってきなさい!と熱い思いをぶちまけて勝利。

舞台少女はえてしてわがままなもの…わかります。

あるるといつか戦うために

狭窄と突破のレヴュー

9〜10話のレヴュー。晶を「未知なる主役」にしたいミチルと、自分が「未知なる主役」になって文と舞台に立ちたい栞との戦い。

序盤はミチルが優勢。宰相として、晶を「未知なる主役」にすることこそが自分の使命だと言い切る。

しかし「戦車」の台詞とともに栞が重い一撃を放つ。形勢逆転する2人。珠緒と文に何があったか知らないが、最初に文と約束したのは生まれた時からずっと一緒にいた私なんだと感情を爆発させる。

ザフィーアの座を狙う栞

文がプラティーン、栞がザフィーアとして夢の舞台を創る…現ザフィーアのミチルにそこをどけと言う姿はまさしく戦車そのもの。

その気迫に押されたミチルは、力尽きかける栞の前で自ら上掛けを落とした。「エリュシオン」が全てだと言う晶に問いかけた「死せる舞台少女」はむしろ自分の方だったと、栞のキラめきを見て思ったのだった。

栞の前で自ら上掛けを落とすミチル

「アルカナ・アルカディア」?

14章では本読みのときに「アルカナ・アルカディア」とタイトルが表示されたが、13章と同じような影絵スタイルで綴られるのは11話からである。なのでここでは11〜13話について言及する。

本読みのときと異なり、「恋人」「節制」「死神」「月」が登場しない。これはもしかするとえるの「戯曲【A】(仮題)」の方かもしれない。

第二幕

  • 運命の輪︰愛城華恋
  • 力︰石動双葉
  • 法王︰鳳ミチル
  • 戦車︰夢大路栞

戦争によって少女は旅を続けられなくなり、ある海沿いの街に滞在。そこで優しい法王(ミチル)の下で従軍看護師として働くが、その教会に戦車(栞)が乗り込んできて地獄絵図となる。

教会に乗り込んでくる戦車

法王(ミチル)の説得に心揺らいだと見せかけて殺害、全く響いていなかった戦車(栞)の憎たらしさがすごい。

てか、何度も披露された「〜愚かなサル共!」のくだり、第二稿初見時(0.9話①)→まひるとの練習時(0.9話②)→第二回本読み時(1話)→第二幕(12話)と回を追うごとに栞の演技がグレードアップしているのがわかる。

だんだんと迫力が増す台詞

運命の輪(華恋)と力(双葉)は、人が進化によって得た力で巻き起こした戦争を俯瞰して見ている。少女の旅もこれで終わるだろうと思っていた。

しかし、瀕死の少女が叫ぶと運命の輪(華恋)が持つ砂時計が回転。なんと少女は自ら運命を書き換え、時間を巻き戻してしまったのだ。

砂時計が回転

戦車(栞)が街を襲う前まで戻った。旅に疲れてあの街に逃げ込んだかつての自分はもういない。旅を再開した少女を見て「あの少女はまさか…」と何かを感じた運命の輪(華恋)。少女は一体何者なのか…?

劇団【A】始動

不思議な現象はもう一つある。

栞とのレヴューに負けたミチルは、なぜかアンドリューがマスターを務めるバーにいた。ミチルは常連客らしい。

自分の慢心を省みていたミチルは、えるを助けてほしいとアンドリューに頼まれる。筆が止まらなくて、5歳の体はオーバーヒートしかけている。そうなれば「永遠の戯曲」は完成しないと…

助けを求めるアンドリュー

「永遠の戯曲」を守る、という新たなミッションを授かったミチルは、舞台作りからヒントを得ようと美空やななに接触。今まで触れてこなかった裏方の仕事を知る。

そこでミチルは、いつからバーの常連客なのか?とななに訊かれ回答に窮してしまう。常連だと思っていたのに、言われてみればなかなか思い出せない。

どうしてミチルが常連客なのか?

メタ的視点を持つななだからこその指摘。あの店はもしかすると「舞台裏」なのではないか、という結論に至った。舞台がミチルを呼んだ理由、まだ演じるべき役があるのでは、そうしてミチルは劇団【A】を創る決意をする。

舞台で、待ってる

13章ラストで「荒野の海賊団」解散を静羽に言い渡されショックを受けたあるる。帰るところがなくなり、聖翔の門の前に座り込んでいたところを早朝に来た華恋に発見される。

孤児だった自分を繋いだ舞台。家族同然だったフロンティアの仲間たちに拒絶されたらもう舞台を創ることができない…と泣くあるる。華恋はそんなあるるを見て、あるるにとってのキラめきはフロンティアの皆で、今はそのキラめきを失った状態なんだと言う。

かつて自分もキラめきを失った経験から、舞台少女の落とし物は舞台の上でしかみつからないと断言する華恋。ここで名台詞「舞台で、待ってる」をあるるに向けて言うのがグッとくる…

あるるへの「舞台で、待ってる」

まさかその後、15話であるるが不良化*1するとはwでも全然似合ってないぞと美空にツッコまれる。

舞台には仲良しだけでは創れない世界があるとし、劇フェスはまさにその高みを目指す段階にあると言う美空。家族で劇団をやっているからこそ、発言に重みがある。「未知なる主役」になるため、あるるを倒すと宣言。レヴュー・フロンティアが始まろうとしている。…というわけで次章へ続く。

▼次回

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*1:といってもカプセルトイに八つ当たりするというかわいいレベルだがw