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「劇場版アナウンサーたちの戦争」初日舞台挨拶(2024年8月16日@TOHOシネマズ日比谷)

パンフも読み応えあった

「劇場版アナウンサーたちの戦争」の初日舞台挨拶に行ってきたので、感じたことなどをつらつらと。

劇場版「アナウンサーたちの戦争」

作品情報

公開日2024年8月16日
配給NAKACHIKA PICTURES
制作統括新延 明
脚本倉光 泰子
演出一木 正恵
キャスト
※敬称略
森田剛 橋本愛 高良健吾
浜野謙太 大東駿介 藤原さくら 中島歩
渋川清彦 遠山俊也 ╱古舘寛治 ╱安田顕 ほか
公式サイト『劇場版 アナウンサーたちの戦争』大ヒット上映中

昨年放送されたドラマの映画化

2023年8月14日にNHKスペシャルで放送されたドラマ「アナウンサーたちの戦争」。本作はその劇場版となる。

▼TV版感想はこちら▼

www.yururito.net

劇場版ではTV版でカットされたシーンが追加されているとのこと。

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初日舞台挨拶(日比谷)

初日舞台挨拶は日比谷(12:00上映後)、新宿(14:00上映後)の2箇所で行われた。私は日比谷に申し込み当選。

しかしこの日はよりによって台風7号が接近する警戒日の中にあり、鉄道の計画運休まで出ているので開催されるかどうかギリギリまで心配であった。

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しかし当日になってみると予想より進行が遅かったのか、まだ雨が降らないうちに移動することができた。駅直結なので、行き帰りともに雨に降られずに済んだ*1

東京ミッドタウン日比谷

上映スケジュール

映画本編

ドラマで見ているのでおおよその流れは覚えていたものの、やはりずしりとくる。見終わったあとも、帰宅してからもしばらくはテンションが上がらず、日課のスプラトゥーンすらやる気が起きずにぼんやりとしていた。

ドラマ版になかったシーンの特定は難しかった。このシーンあったっけ?と思う場面はちょこちょこあった*2が、なにせ1年前なので自分が忘れているだけかも…と思ったり。。

序盤の和田がスポーツ実況をするシーン。とても活き活きしてて楽しそうで、本来は東京オリンピックのアナウンスもするはずだっただけに残念でならない。戦争さえなければ引き続きスポーツ実況で民衆を沸かせていたであろうに、それを戦意高揚の道具として使ってしまった和田自身の苦悩が見ていてつらい。

和田の真似をして「玉砕せよ!」と言う子供を見たときの表情、TVで見たときと違うように感じたのは気のせいかもしれない。あらためて見ると自分がしてきたことの罪深さを突きつけられたような、苦虫を噛んだような表情をしていた。

パンフレットにも記載されていたTV版カットシーン。館野が和田に「スポーツ実況のように戦争放送を沸かせろ」「アジテータになれ」と言うくだりだ。戦争といううねりに飲まれ、ラジオを通して民衆に戦意高揚を植え付けた。後に戦地に送られた館野は自分がしてしまったことを悔やむのだが、このシーンがあると尚更罪深く感じる。

学徒出陣のシーンは前回のブログにも書いたが、あらためて見ても心揺さぶられる…。少年らが夢半ばで死地に赴くことを良しとする空気を醸成したアナウンサーたちは、戦争の被害者にも加害者にも映る。和田の慟哭がつらい…

戦後、ヘルシンキオリンピックで念願のスポーツ実況ができたものの、そこで客死した和田。享年40、今の私とさほど変わらない年齢なのだ…。

ラストシーンはTV版と同じ。まだ終わってないんだということを突きつけられるラスト。そしてエンドロールではかつて日本に侵略された国の映像が流れ、「かの地では、第二次世界大戦は日本戦争と呼ばれている」というテロップが出る。このテロップが衝撃的だった。日本がしてきたこと、劇中では電波戦を行うための放送局を開設したり現地民に日本の言葉や文化を教え込ませたり…といった部分が描かれたが、これでもまだマイルドに描かれてる方で、現実はもっと凄惨な侵略・虐殺の歴史があったんだよな…というなんとも言えぬ思いに駆られた。

舞台挨拶

上映後、司会者の人やマスコミクルーが現れて舞台挨拶の準備が始まる。結局、私の右側2席・左側6席は空席のままであった。台風接近の件でチケット払い戻し受付があり、多くのリセールが出ていたと聞く。できれば満席で剛くんを迎えたかったが、新幹線運休も出てる以上こればかりは致し方ない。

剛くんと演出の一木さんが登壇。一木さんの挨拶で空席のことに触れる。戦時中に来た台風*3は天気予報中止で情報が得られず、大きな被害をもたらしたこと。たくさんの情報が得られる中で、今日来ることを決めた人・やめた人それぞれのドラマがあったんだろうと仰っていたのが印象的だった。

和田のキャスティング理由も興味深かった。一木さんは和田を単純なヒーローとして描きたくなかった、と言う。清濁併せ持った、いい面悪い面両面を演じられる人として剛くんにオファーしたというのはファンとしても嬉しかった。

演出とキャストが互いに意見を交わしながら撮影していったエピソードも語られる。打ちひしがれた和田が実枝子に膝枕するシーンは演出側の提案だそうだ。

目線を原稿のその先、前を見て話すようにしてみてはという剛くんの提案があった話を聞きながら、そういや学徒出陣のシーンでマイクの向こうの群衆にカメラのピントが合う場面があったなぁと思った。この目の前のマイクで、あれだけ多くの人に伝えることの恐ろしさを感じた。

ラストシーンに込めた思い。放たれた言葉は消えない、そして終わってない。今も世界のどこかしらで戦争は起きているし、決して昔話ではないのだ。それに現代はTVラジオ以外に個人レベルで発信できる時代。フェイクニュースを流したり、強い言葉で大衆を扇情できるからこそ、この警告は重いと思った。

thevoices-at-war-movie.com

舞台挨拶動画はこちら▼

まとめ

戦後80年を前に、戦争を経験した人が減っていく中で、過ちを繰り返してはならないと心に刻み続けていくことは大事だなとあらためて感じる。アナウンサー視点で語られる戦争、今まで知らなかった側面を知れた。

そして舞台挨拶でファンミ以来の生剛くんを拝めてよかった。司会者の質問に対して、ゆっくりと一つ一つ言葉を選びながら話していく剛くん。その飾らない、イノセントな俳優・森田剛の姿に見惚れるのだった。

*1:ちなみに帰宅直後に土砂降りになった

*2:例えば実枝子が和田に「変わりましたね」と言うシーン、その続きあったっけ?とか

*3:1942年 周防灘台風