
「ヴォイツェック」…救われない結末に、じわじわとしんどくなる舞台だった。
PARCO PRODUCE 2025「ヴォイツェック」
開催概要
| 開催期間 | 東京公演:2025年9月23日(火祝)~28日(日) 7公演 岡山公演:2025年10月3日(金)〜5日(日) 4公演 広島公演:2025年10月8日(水)〜9日(木) 2公演 北九州公演:2025年10月18日(土)〜19日(日) 3公演 兵庫公演:2025年10月23日(木)〜26日(日) 5公演 愛知公演:2025年10月31日(金) ~11月2日(日) 4公演 東京公演(リターン公演):2025年11月7日(金)~16日(日) 12公演 |
|---|---|
| 場所 | 東京公演:東京芸術劇場 プレイハウス 岡山公演:岡山芸術創造劇場 ハレノワ 中劇場 広島公演:広島JMSアステールプラザ 大ホール 北九州公演:J:COM北九州芸術劇場 大ホール 兵庫公演:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール 愛知公演:穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール |
| チケット(東京公演) | 一般11500円/U-30:5500円 |
| 原作 | ゲオルク・ビューヒナー |
| 翻案 | ジャック・ソーン |
| 翻訳 | 髙田曜子 |
| 上演台本・演出 | 小川絵梨子 |
| 出演者 (敬称略) | 森田剛 伊原六花 伊勢佳世 浜田信也/中上サツキ 須藤瑞己 石井舜 片岡蒼哉/冨家ノリマサ 栗原英雄 |
ゲオルク・ビューヒナー未完の戯曲を元にした翻訳劇。剛くんが出演した翻訳劇といえば2022年「みんな我が子」や2023年「ロスメルスホルム」などが記憶に新しい。
ダイジェスト映像
稽古場風景
インタビュー
各種メディアによるインタビュー
会場・座席について
東京公演の会場は池袋の東京芸術劇場。2階にあるプレイハウスで上演された。
物販はパンフレットとTシャツ(白/黒)。支払いは現金のみだった。
また、会場の一角に舞台のミニチュアが展示されていた。

「ヴォイツェック」(9月27日昼公演)の感想
1回しか見ておらず理解できなかった点も多々あるので、解釈違いがあるかもしれないがご容赦いただきたい。
じわじわとしんどい
感想を一言で言うならしんどい。辛い過去を背負い、愛に飢え、貧困に苦しみ、支配層に翻弄されながらもがくヴォイツェックの哀れな末路を観客は見届けることになる。
そして今見ている光景が果たして現実か、悪い夢か、薬による幻覚かの境目が曖昧*1で、ヴォイツェック視点だとこう見えてるのかな…と思うととても辛い。
家族を養うため、金を得たくて参加した怪しい人体実験。薬を服用するにつれおかしくなっていき、ドクターに見世物のように扱われオーディエンスの嘲笑が響き渡り、粉末洗剤を大量に口にあおって*2倒れたところに聞こえるドクターたちの声*3がしたり、どこまでが本当でどこからが幻なのかわからない悪夢のような光景が広がっていた。
ただでさえ長い会話劇が続いて観る体力が要る舞台なのに、なんとも救われない結末で鑑賞直後はどっと疲れた。マチネだったので空の明るさに励まされたものの、帰り道もずっと心に残るざらつきを感じずにはいられなかった。
母親との記憶
舞台冒頭、少年時代のヴォイツェックが登場する。黒いインクを浸し、ひたすら手で壁を塗りたくるさまは過去を塗りつぶしたいという暗喩なのだろうか。
その後も母親との回想はちょくちょく現れる。舞台奥の扉が象徴的だった。ヴォイツェックが大尉に一瞬母親の姿を重ねたシーン、大尉の姿をした母親の台詞にすごくおぞましい何かを感じたのだが、ちゃんと咀嚼できなかった。あれがヴォイツェックのトラウマなのかな…あのシーンだけ見返したい。。
母親に「私に似ていない」「お前を愛したことなんてない」とはっきり言われたらそりゃキツイよな…
必要の渇望
しきりにマリーに愛していると連呼するのだがこれがとても狂気を孕んでいて、話せば話すほどマリーと噛み合わなくなる。母親に愛されなかったことでずっと心に棘が刺さっていて、必要とされたい、愛されたいという気持ちが異常なくらい空回りしているような印象を受けた。
1幕ラストのヴォイツェックとマリーの長い長いやりとり。冒頭のようにお互い愛を感じるような瞬間もあれば、人が変わったようにズレていく瞬間もあり、2人の関係性の危うさ・繊細さがあった。
必要とされることが必要…という台詞もあった気がする。愛してるから必要とされたい、ある意味ストレートでピュアとも取れるが、その固執した考えに縛られた末、マリーを絞め殺し自害してしまう。愛とはなんなのだろう?と考えずにはいられない。周りの人が手を差し伸べていたら少しは救われたのだろうか…
まとめ
あまりにも救いがなくて、とりとめのない感想になってしまった。
すごく重たい気分になるが、なんかもう一度見たい気持ちもある。リターン公演行こうかちょっと迷い中。
→行きました