ゆるりとねっと。

ヲタクなワーママのゆるゆる雑記ブログ

色々考えさせられた︰映画「前科者」&舞台挨拶ライビュ感想(ネタバレあり)

剛くんにとって6年ぶりの出演となった映画「前科者」。

公開翌日、土曜日の朝イチに行われた舞台挨拶ライブビューイング回を観てきたので、感想を綴ってみる。

映画「前科者」

作品情報


公開日2022年1月28日
配給日活 WOWOW
監督岸善幸
キャスト
※敬称略
有村架純
磯村勇斗/若葉竜也/マキタスポーツ/石橋静河/北村有起哉/宇野祥平
リリー・フランキー/木村多江
森田剛
原作香川まさひと・月島冬二「前科者」
※映画のストーリーはオリジナル
公式サイト映画『前科者』|2022年1月28日(金) 全国ロードショー

剛くんの役どころは、有村さん演じる保護司・佳代の保護観察対象の1人、工藤誠。

イジメに耐えかね職場の先輩を刺殺した前科者だが、真面目に更生の道を歩もうとしていた。

映画の感想

やはり重かったし、色々思うところはあった。でも、希望のあるラストだったので観たあとはそれほどどんよりはしなかった。

キャスト陣の熱演

有村さんも剛くんも、ってか皆すごかった…2時間13分、多少長く感じたもののなかなかに惹き込まれた。

誠の初登場シーン。そこにいるのは紛れもなく「工藤誠」だった。佇まいもビジュアルも、声の出し方も剛くんとはまるで別人だ*1。剛くんの舞台を観る度に毎度感じる不思議な感覚が、大きなスクリーンの前でも感じられた。

有村さんも有村さんに見えない。更生に寄り添う保護司・佳代そのものに感じた。過去の傷を胸に、もがきながらも誠の再犯を止めようと懸命になる姿が印象的だった。

みどり役の石橋静河さんは「DEATH DAYS」の紀子役で初めて知った女優さんだが、これまたガラリと印象の異なる役で、佳代との関係性がとてもよかった。みどりはドラマ版にも登場していたそうなので、ドラマ版もおいおい見てみたいと思う。

そして、忘れちゃいけないのが子役の子たち。佳代・真司・誠・実の過去という重要なシーンを演じた。特に佳代役の子、初め有村さんと見間違えるほどそっくりで驚いた。

完全な悪人も、完全な善人もいない

前科者=完全悪、という描かれ方をしていないように思った。罪を犯した者にもそれぞれ色々な事情があることが、誠や実の生い立ちからも見てとれる*2

また逆に、完璧な善人も作中にはいなかった気がする。実のターゲットにされた人物たちも皆何かしら後ろめたいことがあった*3。刑事コンビも目的のためなら手段を選ばないところがあるし、佳代だって理由はあれど人の家の窓ガラス割ったり図書館の本を無断所持したりしていた。

みんな多かれ少なかれ何かしらの仄暗い闇は抱えており、一線を越えてしまう"境界線"は思ったより薄いんだろうなと思う。

保護司を初めて知った

この映画で初めて保護司という仕事を知った。そしてそれが民間ボランティアだということも。

www.moj.go.jp

佳代はコンビニバイトをしながらなんとか生計を立てている。なかなかハードな仕事なのに対価が少なく、よほどやる気がないと続けるのは難しそうな職業だな…と感じた。

凶悪犯罪をテレビやネットで見聞きする度に「死んだ被害者は帰ってこないのに、加害者に人生をやり直す権利があっていいのか?」と思う方だし、今でも割とそう思う方だったりする。

ただ、本作のように「寄り添う」という形で再犯を防ぐアプローチもあるのだなぁと目から鱗だった。

しかし「寄り添う」と一口に言ってもなかなか難しいよなぁ…と感じた。誠に寄り添っているつもりだった佳代が、そうではなかったと思い知るシーンが作中にもあるが、他人に寄り添うって結構大変だと思う。。

佳代と真司

恋が芽生え、青春の真っ只中にいた2人が、1つの事件によって断絶してしまった。

自らが被害者になりかけた一方で、真司の父を死なせてしまった(間接的な)加害者にもなってしまい、佳代は罪悪感に苛まれながらもこれ以上犯罪を増やさないために保護司の道を選んだ。なかなかに壮絶である。

一方で父を亡くした真司は、犯罪を防ごうと警察官になった。同じ事件をきっかけに、同じ願いを抱きながら2人は別々のアプローチをとり、誠との関わりから再会を果たす。

父の死の直後、中原中也の詩集に書きなぐった「お前はなぜ生きている」は犯人に向けてなのか、それとも父の代わりに助かった佳代に向けてなのか。いずれにせよ佳代には重くのしかかる十字架だったのだろう…

こっそりと持ってきてしまったそれを、ずっと消せずにいたそれを、ラストで佳代がきちんと清算できたのはとてもよかった。隣にみどりがいてくれたのも希望を感じた。

しかし気になる点として、2人のラブシーンは必要だったのだろうか…?と少し疑問が残る。この状況でする?とも思ったが、もしや佳代のスマホに盗聴器仕掛けるために油断させた?一度しか観てないのであのへんのくだりはよくわからなかった…

誠と実

かつてはどこにでもいる平和な家族だったのだろう。しかし、いつからか義父は暴力をふるい、子を守ろうと母はあちこちに助けを求めた。が、束の間の幸せは惨劇に変わった。

みなしごの兄弟は互いを思い合い、理不尽な現実に打ちひしがれながら励まし合ってきた。あれから幾年。久しぶりに再会した弟は、既に壊れかけていた…

順調だった誠の更生が、実との再会によって揺らいでいく。このジワジワ追い詰められる感じ、ギリギリのせめぎあい、剛くんと若葉竜也さんの演技にただただ圧倒された。

若葉さん、初め「謎の男」として登場したときはすごく不気味な存在感で、でも回想に出てくる実だとわかるととても脆く儚い存在に見えて…

躊躇いなく殺人を犯す狂気を感じつつも、でも母や兄を見捨てた者たちへの復讐からそうしてるのだとわかるとなんというか…言葉が出ない。

母を殺した義父への復讐は叶わなかった。が、自宅に乗り込んだとき、義父がどことなく悟った表情をしていた。義父は実になら殺されてもいいと思っていたのではないだろうか。私はDVをする者の気持ちはわからない。だけど、ホームビデオが義父の自宅にずっと保管されていたのは、僅かでも家族を愛する気持ちが残っていたのではないか…とも思う(希望的観測)。

あのホームビデオの映像と、復讐叶わず義父の前で自害する光景の対比がエグかった。ツラい。ツラすぎる。

舞台挨拶の感想

上映終了から数分後、六本木会場の様子が生中継で映し出された。

岸監督、有村さん、剛くん、磯村さん、若葉さんの5名が登壇(石橋さんは体調不良で欠席)。

twitter.com

剛くんの第一声「土曜日の朝に映画を見る人ってどんな人なんだろう」ってのが森田節って感じで面白かったw

剛くんと若葉さん、弟の部屋のシーンが最初の撮影だったとは…すごいな…

若葉さんが抜擢された理由として、「森田剛というモンスターにぶつけるには同じくらいのモンスターを」ということだったそうでw

そして後半の「自分は◯◯者」というお題では、フリップにはなぜか剛くんの肖像画?がw「A-Studio+」にも出ていたイラストレーター・まこっちゃん作であることが後に明かされた。

twitter.com

ノーカット動画も即日アップされていた。※動画内にネタバレあるので注意

まとめ

以上が映画「前科者」のとりとめのない感想である。

ストーリーは重いものの、ところどころ食べるシーンがあるので飯テロでもあった。

牛丼とラーメンが食べたくなる…

ラーメンわかい、いつか行ってみたい。

twitter.com

*1:LiLiCoさんも「顔の皮膚取り替えた?」と言ってたwww

*2:だからといって「辛い生い立ちだったから罪を犯しても仕方ない」という論調にはなってなかったように思う。その辺の塩梅は見る人によって受け止め方が変わるかもしれないが。

*3:実に殺人の動機があったことを裏付けるものだが、これも表現を誤ると「被害者には落ち度があった」という論調になりそうだが、その辺はマイルドになっていた気がする。