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森田剛主演舞台「FORTUNE」感想(ネタバレあり)

森田剛・吉岡里帆「FORTUNE」

2020年現場初め、剛くんの舞台「FORTUNE」を観てきました。とても面白かったです!つくづく1公演しか申し込まなかったことを後悔しています。。もう一度観たい…。

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というわけでさっそく感想を書き残しておきます。ここから先はネタバレ注意です。

「FORTUNE」公演情報

会場のあちこちに花が飾られていました

サイモン・スティーヴンス
演出ショーン・ホームズ
キャスト(敬称略)森田剛 吉岡里帆 田畑智子 市川しんぺー 平田敦子 菅原永二 内田亜希子 皆本麻帆 前原滉 斉藤直樹 津村知与支
根岸季衣 鶴見辰吾
岩崎MARK雄大 遠山悠介 渡邊絵理
期間・場所2020年1月13日~2月2日東京芸術劇場 プレイハウス(東京)
2020年2月7日~2月9日まつもと市民芸術館 主ホール(長野)
2020年2月15日~2月23日森ノ宮ピロティホール(大阪)
2020年2月27日~3月1日*1北九州芸術劇場 大ホール(福岡)
公式サイトFORTUNE | PARCO STAGE -パルコステージ-
  • 上演時間
    • 1幕︰100分
    • 休憩︰20分
    • 2幕︰60分
  • 物販
    • パンフレット︰2000円

「FORTUNE」ネタバレ感想

ストーリー/キャスト

破滅していく男の物語

「現代版ファウスト伝説」と言われる通り、映画監督の男・フォーチュンが悪魔に魂を売って欲しいものを全て手に入れるも、やがて堕ちていくさまを描いています。古典をベースにしているからか、例年の森田剛主演舞台にしては珍しくわかりやすい方かと。(とはいえ全体的に難しい。少なくとも昨年よりは観やすかった)

しかし、大筋はわかっていても見ごたえある舞台に圧倒されました。個人的には1幕の後半からが怒涛の展開で面白かったです。フォーチュンがだんだんと悪魔の力に魅了されるにつれ、身体や精神がじわじわと蝕まれていくさまは見てて痛々しいのですが、剛くんはホントこういう演技*2が神がかっていると思います。

ルーシーが魅力的

田畑智子さん演じる悪魔・ルーシーも素晴らしかったです。

毎回いろんな格好で現れ、神出鬼没な感じ、人ならざる者感を醸しつつも見た目はキュートで魅力的な女性。フォーチュンのことを「ぷぅーちゃん」と呼ぶのが可愛い。フォーチュンはルーシーとたまたまシャンパンバーで出会ったのですが、悪魔は身近なところに潜んでいるんだなぁという怖ささえ感じます

ルーシーはフォーチュンと共犯関係にある味方のようでいて、契約時の契約書説明が雑だったり、土壇場になって契約破棄はできないことを冷酷に突きつけたり。最後は朽ちていくフォーチュンを見放す残酷さも見せてきます。あのあたりは「DEATH NOTE」の死神リュークが月を見捨てたシーンを思い出しました。

悪魔の力

既婚者であるマギーに想いを寄せるも全く相手にされないフォーチュン。まぁ普通そうだよね…と思うのですが、ルーシーと契約を交わした後に状況が一変。夫は事故死し、悲しみに暮れる中でマギーはフォーチュンと急接近*3。。おいおい。

このときはまだフォーチュンも悪魔の力に半信半疑だったのでここまでやらんでも…という反応でしたが、思いのままにできると知ると味をしめてやりたい放題。このときのフォーチュンとルーシーは意気投合しており、人間の業の深さを感じました。ちなみにフォーチュンがチャップリンを蘇らせるシーンは「(蘇らせるのかよ!)」と内心ツッコミ入れながら観てたのですが、役者さんのいでたちがまるで本物*4のようでしたw

チャップリンやプレスリーの召喚は「死者を一時的に蘇らせる(そしてまた死ぬ)」こともできる、と観客に印象づけ、これは後に「幼少期に自分を捨てた父親を蘇らせる」行動に向かっていきます。

父親と母親

ダークなサウンドと共に度々現れ「お前はどうする」と歌っていた謎の人物が、ここで初めてフォーチュンの父親だと判明*5します。

父親の発言、「死んだら時間は止まる」など他にも結構重要なことを言っていたのですが、一度の観劇ではちゃんと受け止めきれませんでした。。冥界のことに関して、訊かれても答えてはいけない質問もあるんだな、とも思いました。

その後錯乱し、刑務所に入れてくれと言って交番に駆け込むフォーチュンは傍目から見ると妄想癖の狂人でした。突然現れるルーシーに慄くフォーチュン。ルーシーが見えない警官たちはやれやれ…といった感じ。そこからの惨劇が衝撃的。

独房に入れられたフォーチュンのもとへ面会に来る母親のシーンはせつないものがありました。

これまでにも何度か母親とのシーンはありましたが、母親といるときのフォーチュンは唯一安らぎを感じているような気がします。声も若干甘えているような。聴覚、嗅覚、そして両目がボロボロの姿で、それでも心配をかけまいとするフォーチュンは、先ほどの狂人とはまた違った印象を受けるのです。母親の方もなんとか助けたい想いをひしひしと感じるのですが、電車の時間があるから…と言って独房を去るのでした。もう会えないとも知らずに…


救いのないラストは、大きな余韻を残しました。自分の思い通りになる世界を手に入れても満たされない虚しさ、狂っていく運命。ルーシーに出会わなかったらこうはならなかったのに…でも、ルーシーはそもそも「いた」んでしょうか?本当の悪魔は誰だったのでしょうか?いろんなことを、観終わった直後も、翌日も、そのまた次の日も思いを巡らせるのでした。

演出/舞台装置

だだっ広いステージは、がらんとしています。舞台上にあるのは大量のダイエットコークが入った冷蔵庫と散乱する空き缶のみ。しばらくはその状態でストーリーが進んでいきます。

壁の一部がドアとして機能しており、そこから人が出入りするのでさらに奥があるんだというのはわかるのですが、次第にそこもカーテンハウスのシーンなどで空間として見えてきます。

そして2幕でフォーチュンの父親が現れたときに、ステージの奥の奥まで空間が開放されていました。奥行の広さから、彼が冥界から来たんだという印象を感じます。彼と周りのモブがやがてゾンビっぽく変わっていく演出も相まって不気味さがありました。

印象的だった可動式舞台

また、交番のシーンと独房のシーンでは箱型の可動式舞台がそれぞれ登場します。

交番のシーンはゆるさと怖さのバランスが絶妙でした。2人の警官はコメディリリーフな立ち位置だと思っていたのですが、完全に油断してました…。交番に居座るフォーチュンが突然明日の新聞の話をし出します。そのとき銃を構えていたルーシーが、舞台回転の間にフォーチュンに入れ替わるところはゾクッときました。


独房のシーン、いつからか砂時計の砂のようなものがステージの一角に降り出します。

ルーシーがフォーチュンを見捨てたラストでは、その砂が独房の上に降りかかり、その量がどんどん増えていき、やがて視界から消えそうになる瞬間に舞台が暗転。(余談ですが、旦那がハマっているゲーム「Rain World」のゲームオーバー画面*6がよぎりました。)

あれは砂なんでしょうか?木屑か他の物にも見えなくもないですがわかりませんでした。カーテンコールでお辞儀する度に剛くんの髪からこぼれてましたw

剛担的萌えポイント

毎度ながら舞台上の剛くんは役が憑依しているので「フォーチュン」にしか見えない*7のですが、観終わって振り返ると剛担として気になった萌えポイントがありました。

足の爪切り

喋りながら靴下と靴を脱ぐシーンがあります。しかも片方だけ。この状況で何するんだろ?と思って見ていたらなんと足の爪切り。

舞台の手前側でそれやってるのでまじまじと見てしまいましたw

シャンパン飲みながら電動歯ブラシ

なんでその組み合わせw

これも舞台手前側でやってて気になりました。ところで剛くんは普段は電動歯ブラシなのか普通の歯ブラシなのか…(どうでもいい)

狂気に満ちた激しいダンス

剛くんのダンスが間近で見れるとは…!

剛くん本領発揮?!ってくらい激しくも狂おしいダンスで剛担としては眼福でした。高速ターンも美しい。ここ数年ツアーはないし最新曲の振付は緩やかなので、激しく踊る剛くん自体久しぶりすぎて興奮しました。

シーン的にも狂気に満ちた部分なのでとにかくヤバイです。キレキレです。

そういえばサイモン氏が手がけた以前の舞台「夜中に犬に起こった奇妙な事件」でも、カーテンコールで剛くんのダンスに度肝を抜かれたことがありましたw

oniku-tabetai.seesaa.net

余談

人生初の最前列

まさかの最前列!

( ゚д゚) ・・・

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚) ・・・

(つд⊂)ゴシゴシゴシ

(;゚ Д゚) …!?

1階A列と書かれたチケットを受け取ったとき、何度も見返しました。。またとないくじ運を今年さっそく使い果たしたのではなかろうか…w

A列自体が中央ブロックしかない座席で、眺めは最高でした!場面によっては俯瞰しにくいところもありましたが、舞台の奥行きが広いので近すぎて見上げて首が痛い…ということはありませんでした。

おにぎり屋さん「吾ん田」

東京芸術劇場には少し早めに着きそうだったので、暇つぶしのカフェを探したのですがどこも満席。。劇場内にあるおにぎり屋さん「吾ん田」で一息つきました。

おにぎりの種類もいろいろあり、惣菜と組み合わせて味噌汁(または豚汁)がついたセット。味噌汁で体もぽかぽかあったまってよかったです。

まとめ

舞台「FORTUNE」、ストーリー的にも面白かったですし、色々な場面が印象に残る素晴らしい舞台でした。ここに書ききれなかった感想もあります(香水のこととかヤギのこととか)。

願わくばもう一度観たかった…スケジュールと家庭の都合で追加行けないのが残念。。毎度毎度、私の期待を遥かに超えてくる剛くんの進化に感激です。

*1:2/28〜3/1の北九州公演は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止となり、2/27が大千秋楽となった。
stage.parco.jp

*2:「ヒメアノ〜ル」「IZO」でも感じた、無茶苦茶に破滅へと向かっていくさま


*3:マギーの気持ちは全て悪魔に操作されたものなのか、実は少し本心でもあるのか…その辺はなんともわかりません。

*4:まぁ写真でしか見たことないですがw

*5:必ずしも同一人物ではないかもしれないけど

*6:タイムリミットが来るとステージ全体に激しい雨が降りしきり、やがて視界もぐちゃぐちゃになってゲームオーバーしてしまう。下記動画の3:05〜4:58あたり参照。

*7:剛くんの舞台を観に行っても剛くんはそこに「いない」のです。凄くないですか?!