先日*1、ミュージカル「少女革命ウテナ」の第2弾「〜深く綻ぶ黒薔薇の〜」上演が発表されました!やったー!!
twitter.com発表されました!いよいよミュージカル『黒薔薇編』です。深く…もっと深く…デュエリストたちと黒薔薇たちの戦いをよろしくお願いします!https://t.co/PcSSOGGCXJ #黒薔薇#少女革命ウテナ
— 幾原邦彦 Ikuhara Kunihiko (@ikuni_noise) 2019年5月15日
それからもキャスト発表、キービジュアル発表など少しずつ情報が解禁されてきています。わくわく。
あまりの嬉しさに興奮気味なのですが、なぜなら今作は私が特に好きな「黒薔薇編」をやるからなのです!
そこで今回は、アニメのネタバレを極力抑えながら「黒薔薇編」の魅力を語ってみたいと思います。
第1弾「〜白き薔薇のつぼみ〜」の感想はこちら www.yururito.net
少女革命ウテナ「黒薔薇編」について
全39話ある「少女革命ウテナ」は、「生徒会編」「黒薔薇編」「鳳暁生編」「黙示録編」の4部構成。その第2部、第14話〜第24話が「黒薔薇編」です。
怪しい新キャラ・草時と馬宮
生徒会編ラストで「ウテナの普通」を取り戻したウテナ。
一方、学園の一角にある曰くつきの建物「根室記念館」では、天才高校生・御影草時と謎の人物・千唾馬宮が不穏な動きを見せていました。
また、アンシーの兄・暁生もこの黒薔薇編から登場*2し、ウテナと関わっていきます。
仕立て上げられたデュエリストたち
草時と馬宮は、薔薇の花嫁・アンシーを抹殺し永遠を手に入れるため「黒薔薇のデュエリスト」を作り上げてウテナと決闘させます。
ターゲットにされた人物の多く*3は、生徒会メンバーと近しい間柄。それぞれが深い心の闇を抱えており、草時らによってその闇をえぐられ、増幅され、黒薔薇のデュエリストにされていきます*4。
脇役の脇役にスポットが当たる面白さ
「生徒会編」では、ウテナが関わりをもった生徒会メンバーとあれやこれやあった末に決闘する流れでした。
しかし「黒薔薇編」ではこの構図はガラリと変わります。黒薔薇のデュエリストが生み出される経緯にウテナは関与しておらず、ある日突然決闘に呼び出されるのみ。ウテナは決闘前の彼らとは知り合い程度*5の関わりでしかなく、なぜ決闘を申し込まれたのかすらわからない状態です。
いわば「脇役の脇役」によるストーリーがメインになるのが、黒薔薇編の面白さでもあります。
各話紹介
ここからは黒薔薇編の各話を、核心的ネタバレには触れずに、私の主観的な感想を交えて紹介します。
アニメ本編が気になる人は是非予習をオススメします!
第14話 黒薔薇の少年たち
- 黒薔薇のデュエリスト︰鳳香苗
- 決闘名︰疎外(alieation)
- 決闘曲︰不人幻魂合体術
理事長の娘で、暁生のフィアンセ。傍目から見ても幸せそうな香苗だが、義妹となるアンシーが生理的に受け入れられず根室記念館へ。
根室記念館に告白昇降室という悩みを吐露する場所があり、そこで闇を増幅した者が黒薔薇のデュエリストにさせられるんだな、という構図がわかる回です。ところどころに「死」のモチーフを感じさせる独特の世界観を醸し出しています。
第15話 その梢が指す風景
- 黒薔薇のデュエリスト︰薫梢
- 決闘名︰執着(attache)
- 決闘曲︰架空過去型《禁厭》まじない
ウテナが思いのほか強かったので、さらに強い黒薔薇のデュエリストを仕立てるべく草時らは生徒会メンバーの周辺に注目。
生徒会メンバーの幹と、その双子の妹・梢。梢は奔放な男女交際を繰り返しているが、それは幹に気にかけて欲しいという屈折した愛ゆえ。一方で幹を汚そうとする者は誰であろうと許さない。でも幹は相変わらずアンシーが気になっており、その苛立ちから梢は根室記念館へ。
決闘中、机の上のミルクセーキを何杯か飲み干しているアンシーが不思議ちゃんというか…意味深です。。
第16話 幸せのカウベル
七実回と言う名のギャグ回。ブランド品に魅せられた七実が、パーティーのお披露目会で意気揚々と首に提げたのはカウベル。翌日から学園にもカウベルをつけてくる始末。
誰も指摘できない中、注目を浴びていると勘違いして喜ぶ七実は次第に身も心も牛になっていく…という、ウテナ流の寓話となっています。オチも秀逸w
第17話 死の棘
- 黒薔薇のデュエリスト︰高槻枝織
- 決闘名︰嫉妬(jalousis)
- 決闘曲︰地球は人物陳列室
学園に戻ってきた樹璃の幼馴染・枝織。樹璃がつれない態度なのはかつて自分が樹璃の想い人を奪ってしまったからだ、と思い込んでいるが、真実は違っていた。
樹璃が捨てたはずのロケットペンダントを偶然*6手にし、樹璃の秘密を知ってしまった枝織は根室記念館へ。
樹璃回(7話/17話/28話/29話)はどれもせつないです。樹璃と枝織の愛憎混じる関係性、好きなんですよね…。この回以降も枝織のしたたかさが見え、ドロドロとしてきます。
第18話 みつるもどかしさ
- 黒薔薇のデュエリスト︰石蕗美蔓
- 決闘名︰焦燥(impatience)
- 決闘曲︰円錐形絶対卵アルシブラ
七実の付き人(舎弟?)として尽くす小学4年生・美蔓。しかし事あるごとに自分がまだ子供扱いされていることに歯がゆさを感じており、その焦りから根室記念館へ。
小4と中1ってそれほど離れているとは(アラフォーの私には)思えないんですが、美蔓からしてみたら七実はすごくお姉さんに映ってるんだろうな…。
第19話 今は亡き王国の歌
若葉回前編。
若葉の幼馴染・達也がウテナにラブレターを。若葉曰く、達也はかつてタマネギ頭をバカにされていた若葉を救った「タマネギ王子」だった。ウテナは若葉と達也が不器用ながらも想い合っていると察し、恋の行方を見守るが…
黒薔薇のデュエリストは誰でもなれるわけではないことが判明する回。
第20話 若葉繁れる
- 黒薔薇のデュエリスト︰篠原若葉
- 決闘名︰限界(limite)
- 決闘曲︰幻燈蝶蛾十六世紀
若葉回後編。神回。
誰にも言えない2人だけの秘密を持ってしまった若葉。小さな幸せを噛み締め、日々活き活きしている理由はウテナすら知らなかった。
「多くの人にとって、特別な時間は長くは続かない」
幸せの絶頂からどん底へ…「特別な人間」と「その他大勢の人間」という対比が残酷に描かれます。決闘中の若葉の絶叫がつらい…。
決闘場でウテナが若葉と対峙したときの衝撃、そこからのウテナの立ち回り、ここはおそらく今回のミュージカル一番の見せ場になる…はず。
第21話 悪い虫
- 黒薔薇のデュエリスト︰苑田茎子
- 決闘名︰依存(dependance)
- 決闘曲︰成熟年齢透明期
七実の取り巻き3人衆の一人、茎子は密かに冬芽へ想いを寄せていた。ある日偶然、一人で雨に濡れる冬芽を見かけた茎子は思い切って自分の傘を差し出すが…。
普通に恋がしたいだけなのに、好きな人の妹は傲慢で傍若無人なブラコン女。って状況はかなりツラい。。「お兄様にたかる悪い虫」として徹底的に駆除され黒薔薇のデュエリストに墜ちますが、決闘後は何事もなかったかのように七実に仕えており、女って怖いな…と思ってしまいます。。アンシーの台詞も意味深。
第22話 根室記念館
御影回前編。
その昔、根室記念館では100人の少年らによって「永遠」を手に入れるための研究が行われていた。「電子計算機のような男」と揶揄された根室教授は、時子という女性に出会いその研究に携わるようになる。時子の弟、馬宮と出会ったのもこの頃だった。
在りし日の根室記念館が焼け落ちるまでを描いた回。多く回想を混じえつつも、学園を去った者と残っている者との決定的な違いから、鳳学園というシステムの謎が垣間見える回です。
第23話 デュエリストの条件
- 黒薔薇のデュエリスト︰御影草時
- 決闘名︰自覚(conscience)
- 決闘曲︰ワタシ空想生命体
御影回後編。黒薔薇編クライマックス。
ウテナは根室記念館に掲げられているデュエリストの写真から、一連の黒幕は草時だと悟り決闘を申し込む。一方草時はそんなウテナに時子の面影を重ねている。そして決闘の中で明かされる真実…
「画面に映っていることが必ずしも真実とは限らない」という、幾原作品でしばしば見られる手法が発揮される種明かし回です。哀れな末路を辿る草時…ここもミュージカルで大きな見せ場となることでしょう。
第24話 七実様秘密日記
生徒会編・黒薔薇編における七実回の総集編。数々の珍エピソードが、ずっと傍にいた美蔓視点で描かれる。
様々な悪事がウテナやアンシーの前で暴かれ慌てる七実。美蔓視点の新カットも入るので「裏ではこんな事があったのか」という新たな発見もあって面白いです。そして相変わらずチュチュは色々やらかしている…w
ミュージカルではどうなるのか予想
アニメの黒薔薇編について紹介してきましたが、これを踏まえてミュージカルではどんな感じになるのか予想してみたいと思います。
決闘
まず決闘について。
草時戦は当然あるとして、その他のデュエリストについてはどうか。
前作でアンサンブルが務めていた梢と枝織が、今回はキャスティングされています。梢戦・枝織戦は確定でしょう。
また、生徒会編同様に若葉とのエピソードはウテナと切っても切れないでしょうから、若葉戦ももちろんあるでしょう(てか無かったら私が発狂するw)。
他のデュエリストはアンサンブルが役を務める可能性もありそうですが、尺的に厳しいかもしれません*7。
ストーリー
今作は草時と馬宮、そして黒薔薇のデュエリスト達のストーリーを中心に進むと思いますが、暁生がそこ以外でどの程度絡んでくるか気になります。
ウテナとの距離をじわじわ縮める描写はアニメ同様ありそうですが、アンシーとは……どうなんだろう。
あと個人的には、七実は牛になるのかどうかも気になるところですw
前作でも好演だった七実役の鈴木亜里紗さん、今作はどんなパフォーマンスを見せるのか密かに期待していますw
*1:この記事を書き始めた5/17時点では「先日」だったんですが、だいぶ時間が経ってしまいました…。。
*2:正確には生徒会編の13話「描かれる軌跡」にも登場していますが、ウテナらの前に姿を現すのは黒薔薇編からです。
*3:初回の鳳香苗を除く。初戦の結果を経て、草時らは生徒会メンバーの周囲の人物に狙いを変えました。
*4:ターゲットをみつけて目的達成のための兵器に仕立てる点は「さらざんまい」の玲央と真武にも似てる気がします。
*5:元々友達の篠原若葉を除く。苑田茎子に関しては名前すら知らない相手でした。
*6:「何者か」が作為的に仕向けたものだと思いますが。
*7:前作は西園寺戦、冬芽戦①②がメインで、幹戦・樹璃戦は同時並行演出でした。