感無量だった。観終わってしばらく立てなかった。
うさぎちゃん結婚おめでとう…
「劇場版 美少女戦士セーラームーンCosmos〈後編〉」
作品情報
公開日 | 2023年6月30日 |
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上映時間 | 80分 |
監督 | 髙橋知也 |
キャスト ※敬称略 | 三石琴乃 野島健児 福圓美里 金元寿子 佐藤利奈 小清水亜美 伊藤静 皆川純子 大原さやか 前田愛 藤井ゆきよ 水樹奈々 井上麻里奈 早見沙織 佐倉綾音 林原めぐみ 北川景子 |
公式サイト | 劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」公式サイト |
前編(6月9日)から3週間後の公開。うさぎとちびうさの誕生日という記念すべき日に、2014年から始まったCrystalシリーズが完結した。
▼前編の感想はこちら
セーラーコスモスCV発表
6月14日に完成披露試写会の場で、セーラーコスモスのキャストが解禁された。てっきり三石さんがやるものだと思っていたから、この発表にはかなり驚き困惑もした。
作品の感想(ネタバレ注意)
2023年6月30日。元々は旦那との交際記念日に合わせて有休をとるつもりだったが仕事の都合で延期。それならばとこの日を有休とし、お迎えを旦那に託して前編後編を一気見することにした。
前編は公開4週目で1日1回上映になっていたが、私と同様に前編後編と続けて見たい人たちが多数おり、後編で再入場したときも座席の配置があまり変わっていなかったw
セーラースターソング
楽曲は先行公開されており知っていたが、OP映像付で見るとグッと来るものがある。前編はSとSuperSのオマージュが目立ったが後編はスターズとRが目立つ。
火球とライツによる歌唱。奈々様の歌声でセーラースターソングが聞ける日が来るとは…。
そしてそして、予告編でちょっと不安要素だった「エタムンを内部・外部・タキ様・ライツ・火球が支える画」はこのOPの1カットだった。これが本編だったらかなりの原作改変になるな…と危惧していたが、杞憂に終わってホッとした。
原作補完で救済されたライツ
一方で、原作そのままだと後編冒頭で目覚めぬまま散ってしまうセーラースターライツのことも気がかりであった。原作前半はそれなりに存在感があったものの、後半はあまりにもあっけない。
しかしそこはちゃんと救済があった。原作で火球が記憶の川の水を飲まされるくだり、その時点でライツたちも目覚めていたため、その後セーラーφ・χと真正面から戦う見せ場ができている。予告編で見た、原作にないバトルシーンはまさにここだった。
なので、ライツのセーラークリスタルが奪われるタイミングは原作と同じなのだが、φχに一方的に奪われるのではなく、正々堂々戦った上で散るのでドラマティックになった。火球を守るという矜持も描かれ、ライツを失って狼狽える火球の演技もとても良かった。
名シーンに息吹が吹き込まれた喜び
これは前編でも強く感じたものだが、原作の名シーンに映像と声がつくのが本当に嬉しかった。三石さん、林原さん、奈々様、みんなの熱演が凄い…。
原作で好きな砂漠川のシーン。セーラーレテ・ムネモシュネの関係性もいいのだが、ここでエタムンが言う「あたしを殺して」がホントにグサッときた。これ原作でも衝撃的だったけど、三石さんの声の演技がとても良かった。
ヘヴィメタルパピヨン戦、ちびムーンがセーラーカルテットとともに未来から駆けつけるくだりも好き。動くセーラーカルテットに感激…必殺技バンクまで…。ちびムーンの福圓さんに関しては、8戦士たちの攻撃にエタムンらがボロボロになっているときの悲痛な叫びも素晴らしかった。
火球がセーラー火球となりエタムンに加勢するも、隙をつかれてセーラーχに殺されるシーン。誌面で見たときの衝撃は今でも忘れられない。そしてエタムンに見守られながら切なく絞り出すように話すその最期は、奈々様の熱演が光っていた。
そして激アツだったのがギャラクシアとエタムンのバトルシーン。漫画で見たコマが映像の中に違和感なく織り込まれ、三石さんと林原さんの熱量の高い演技でグイグイ惹き込まれた。個人的にはあのバトルのあとの「…戦いがおわる 望んでいたことがこんな形で…」のくだりも好きで、自分が探し求めていた星はセーラームーンだと悟ったときのギャラクシアはせつなかった。
コスモスの解釈に納得
そして、鑑賞前は楽しみ半分不安半分だった北川さんのセーラーコスモスはというと…とても良かった!!
セーラーセレスたちの前で語り出すセーラーコスモス。低く落ち着きのある声は、遠い未来での果てしない戦いに疲れたコスモスの心情にすごくマッチしていた。
何のために戦っているのかわからなくなり、ここでの戦いのことを何度も後悔したコスモスが、過去の自分に励まされまた前を向く。同一人物とはいえ、置かれている状況は異なるし気持ちも変わっている。なのでここはあえて別キャストにしたのかなぁと思った。
第一報を知ったときはこの采配に少々疑問だったけれど、北川さんのコスモスを聞いて不思議とストンと腑に落ちた。三石さんで聞きたかった気持ちはゼロではないけれど、これはこれで有りだなと感じた。
ラストのサプライズ
ガーディアン・コスモスに「どんなに辛くてもこの人生を生きていきたい」と伝えた*1うさぎ。原作ではここから時間が飛んでまもうさプロポーズのシーンになるのだが、本作では銀河から地球へと帰っていく描写、さらにはうさぎが自宅前に戻ってくるオリジナルシーンまで追加されていた。「うさぎが帰ってこないような気がして…」という育子ママのフラグ*2がいい意味でへし折られた。
そして弟の進悟*3が後ろからうさぎを蹴る。これは紛れもなく無印1話・原作Act1の同シーンのオマージュ*4である。銀河をかけた壮大な戦いに決着をつけ、全てを大きな愛で包み込んだセーラームーン。かなり遠いところまで来てしまったように見えるが、家に帰ればドジで泣き虫な月野うさぎなのだ。月野家の面々、そして回復したルナが出迎えるラスト。ルナとの出会いから始まった物語が、ルナの「おかえりなさい」で締めるところにグッときた。
プロポーズ&結婚式はED後に来た。ここも再現度が高く、漫画で読んだときの感動が蘇ってくる。うさぎちゃんおめでとう!ここまで見届けることができて本当によかったと、ラストシーンを見て感激していたのであったが…
…あれ?まだ何かある?と思った直後。
武内先生の直筆メッセージ、そして今まで見たことのない描きおろし原画*5がスクリーン一面に次々と映し出されたのだ…!!
映画館が静寂に包まれた。
心の中で「やべーーー!!!」と叫んだ。
まさかのサプライズに一人泣きそうで、照明がついたあともしばらく動けなかった。
欲を言えば…
ここからは個人的なワガママw
原作もそうだがウラネプの最期があまり描かれていないので何かしらの補足はほしかった。まぁウラネプは前編の学園生活やバトルで尺使ってたから後編はプルサタに尺をとったのかもしれないが。
ちびムーンとセーラーカルテットが参上したときのちびムーンのポーズがすしざんまいに見えてしまってwあそこ原作とポージング違うんだよなぁ…
コルドロンに飛び込んだうさぎの「待ってて…」のあと、「いまここから 助け出すから…」台詞カットしないでほしかった。。
再生後のライツや火球も描いてほしかった気もする。スターズ最終回のお別れシーンほどでなくてもいいけど、元気でやってるよ的なカットがあったらなぁ。
その他箇条書き
- 冒頭、
秋桜 のアップから始まる。コスモスの変身バンクにも秋桜あった。 - 「うさぎが帰ってこない気がして…」のシーンやはり後編冒頭に持ってきた…正解…
- ちびちびのこと「ちびコロ」って言う夜天のシーンも入ってて嬉しい
- 出発前、突然羽根が生える火球とライツ。原作読んだときも「羽根出るの!?」って驚いたっけw
- エタムン変身バンク前編とまた変わってる!無印オマージュ!*6
- 各キャッスルに残された砂、原作だとさらっとしてるけど結構こんもりしてる
- プルート襲撃の続き、サターン加勢してるのアニオリだ。原作でもほたるがカロンキャッスルに駆けつけるカットはあるが、そこを膨らませた感じ(必殺技バンク入れてくれてありがとうございます…)。
- 前編OP鐘の音で出てくる黒い門、これか。
- レテムネのピアスこんなデザインだったんだ。なんか痛そうw
- 祝!ヘヴィメタルパピヨンアニメ化!くどはるさんの声似合ってる。
- ちびムーンらにちびちびを紹介するときに「ちびちび"ムーン"ってつくんだっけ?」と訊いてたのも原作通り。
- 敵8戦士、初めは「ギャラクティカ」なしの必殺技で後半からいつの間にか足されてたが、読み返したらこれも原作通り。
- クロノスタイフーン放つプルート、めっちゃ悪い顔しとる…(好き)
- 8戦士を倒すときのセラピーキッス、涙声なのがまたなんとも…(つらい)
- 「戦え!この私と!!」のビジュも良い…
- エタムンに馬乗りになるギャラクシア、過去に酷い目に遭っていたことがわかる描写が映像で表現されてたのエグい
- セーラークリスタルがコルドロンに溶け、許せない!と駆けるエタムンカッコいい。なんかこの動き既視感あるんだけどなんだっけ…セラエタ?
- 泥人形タキ様、エタムンの前でギャラクシアにくっついて蹴られてさらには奈落に落とされるって散々だな(原作通りなんだけど映像で見るとあらためてw)
- ちびちびからコスモスへ…逆にコスモスからちびちびになる過程(アニオリ)も描写されてて良かった
- 回想に出てきたセーラーカオス、原作より結構ハッキリ描かれてる
- コルドロンのはるかさんスカート短くない?w
- 1話オマージュとわかってても、姉を蹴るなよ進悟w
まとめ
ツッコミどころがないわけではないものの、Crystalシリーズ最後の集大成でなかなかの出来栄えだと思った。原作既読勢としては、色々な名シーンが映像化されたことがただただ純粋に嬉しかった。原作補完という形でのアニオリもとても良かったと思う。
本当に皆お疲れ様でした…!
*1:ここでCrystal1期の前世自害シーンもってくるのすごい。愛する人を失って自らも命を断ったあのときと同じ選択はもうしない、うさぎが強くなったことがうかがえる。
*2:実は原作読んでるとき、コルドロンから出たあとどの時代へ帰ったのかあまりよくわかってなかった。現代なら育子ママの元へ戻れただろうし、未来に飛んだのならあのままお別れだっただろうし。でも本作で現代に戻ってきたことがハッキリ描かれたのでよかった。
*3:そういえば見た目が小5のままに見えたが…一応中1よね?
*4:でもバカにされてこんのぉおおお〜〜!って顔した直後に「進悟…」って優しい顔になるの、進悟でなくてもビビるw
*5:地球をバックに、エターナルティアルを持ったエタムンが左向きに跪いている構図。ポージングは本編の「光は闇を呼び、闇はまた光を呼ぶ」あたりで出てきたイメージに近いか?
*6:初見では無印しかわからなかったが、YouTubeショート見返してスターズ→無印→S→Rのオマージュ入ってることに気づいた。