「雨の中の慾情」、不思議な夢を見ているような気分だった。
雨の中の慾情
作品情報
公開日 | 2024年11月29日 |
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配給 | 日本︰カルチュア・パブリッシャーズ 台湾︰光年映畫 |
監督 | 片山慎三 |
キャスト ※敬称略 | 成田凌 中村映里子 森田剛 足立智充 中西柚貴 松浦祐也 梁秩誠 李沐薫 伊島空 李杏 竹中直人 |
原作 | つげ義春「雨の中の慾情」 |
公式サイト | 映画『雨の中の慾情』公式サイト |
つげ義春の短編漫画をもとに映画化した本作。
日本と台湾の共同制作で、ほぼ全編台湾で撮影された。
剛くんは自称小説家の伊守役。
x.com◢◤『#雨の中の慾情』
— 映画『雨の中の慾情』 (@ame_yokujo) 2024年10月5日
日本×台湾 共同制作作品
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||◤ 煙草を手に持つ伊守 ◢||
🎬𝟏𝟏.𝟐𝟗(金)公開
原作 #つげ義春#成田凌 #中村映里子 #森田剛#竹中直人
監督・脚本 #片山慎三 pic.twitter.com/0vo4IoExXk
x.com◢◤『#雨の中の慾情』
— 映画『雨の中の慾情』 (@ame_yokujo) 2024年11月26日
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⠀⠀公開まであと𝟑日
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“伊守役” #森田剛 さんから
コメントが到着✨
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ぜひ、劇場でご覧ください。
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🎬上映劇場はこちらhttps://t.co/J62mRU0TnJ
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映画『雨の中の慾情』𝟏𝟏.𝟐𝟗(金)公開
🎥日本×台湾… pic.twitter.com/Yue5YxPRaO
公開記念舞台挨拶(TOHOシネマズ日比谷)
公開翌日の11月30日、日比谷で行われた舞台挨拶に行ってきた。
私が参加したのは13:05回の上映前舞台挨拶で約30分ほど。成田さん、中村さん、剛くん、そして竹中さんが登壇した。同日9:30回の上映後舞台挨拶はマスコミ取材が入っていたが、こちらの回はマスコミ無しだった。
上映前のためネタバレしないスレスレのところで、役の話や撮影時の話とかが主な話題だった。
竹中さんのトークは流石だった。開口一番「42歳です」ってw
また、劇中で口笛を吹いてたら剛くんにうるさがられたというエピソードも面白おかしく語っていた。
伊守はでかいホクロがあるそうで、小道具のホクロが落ちてるのを見て鼻くそかと思ったとかそんな話もあった。
(他にも色々話されていたのだが忘れてしまった…)
見どころについて、義男はとにかく福子が好きなんだということが伝われば…というのと、仕草のぎこちなさに注目してほしい、と成田さんが話していた。
ところで舞台挨拶終わった途端に一部の観客がごっそり席を立っていったのだがどういうことなんだろう…なんか失礼じゃない…?
作品の感想(ネタバレあり)
原作未読。あらすじもあまり読まずに行ったド初見の感想。
センシティブ描写多め
タイトルからしてエロ描写はあると構えて行ったが、それどころではなかったw
初っ端から不穏な映像の連続。そして雷雨の中、居合わせた男女が田んぼの泥の中で絡み合う…。この他にも、ボカシは入るが裸で絡み合う露骨なシーンはところどころある。
また、後に出てくる戦争のシーンでは凄惨な描写も多々あり、一瞬だが四肢欠損などグロ耐性がないと少しキツい部分もあった。なるほどR15+…。
夢と現実の境目がわからない
冒頭の田んぼのシーン*1は義男の見た夢だとわかるのだが、進んでいくうちに現実だと思っていた部分すらも夢だったり、夢だと思っていた部分は本当に夢だったのかすらわからなくなってくる。
たしかに寝ているときに見る夢ってそういう奇妙なところがあって、全くの別人をなぜか同一視していたり、普通じゃありえない設定がまかり通っていたりする。夢子と福子が部分的にリンクしているような感じもあり、この奇妙な事態は夢だからかなるほど、という不思議な納得感もある。
終盤の義男が走るくだりはこれまでに出てきた場所が背景となって、夢と現実、時空を超えていくシーンとなる。物語が多重構造になっていて難しいけれど、どのような状況であれ福子への愛という点では一貫しているように感じた。
奇妙だけど展開が気になる
売れない漫画家の義男、自称小説家の伊守、バツイチの福子。大家の尾弥次が引き合わせた縁で、3人の関係が絡み合っていく。
福子に惹かれていく義男。伊守は義男の気持ちに気づいていながら、わざわざ家に呼んで実は福子と付き合ってましたー!ってやるのひどいwwwしかも北町の広告誌事業に失敗して追われる身となり、福子とともに転がり込んだ義男の家で致してしまうという図々しさ。かと思えば実は南町の城に妻子と住んでいて、福子に何も告げずポイして帰ってしまう身勝手さ。後に追いかけてきた福子に返り討ちにされるのだが、なんかどこか憎めないw
尾弥次の怪しい稼業「つむじ風」、誘拐してきた子供に過度なストレスを与えて出る分泌液をつむじから採取して高値で取引するという…。北町から南町に行くには厳しい検問を通らねばならないのだが、この取引があるからなんとか通れちゃう。南町で居場所をつきとめた福子は伊守に復讐し、義男は晴れて福子と結ばれ…ってんなアホな?って展開なのだが、後半で大きな種明かしが来る。
これすらも夢だったのだ。
戦争の真っ只中、激しく負傷した義男が見た夢…
必死に呼びかける伊守は仲間の兵士らしい。尾弥次は軍医で普通に五体満足である。
現実は苛烈だった。そのあまりにも凄惨な場面を見ると、先程までのあれやこれやがなんだか愛おしくも思える。この先にもバスタブのシーンやダンスのシーンがあったりして、もうどこまでが戦争前の記憶で、どこからが夢なのか。境目も曖昧に感じながら、義男と福子の物語を見届けていた。
まとめ
とても奇妙で、でもなんか面白かったり苦しかったり、色んな感情が込み上げる独特な作品だった。
一度観ただけでは全てを理解するのは難しい。いや、何度観てもわからないかもしれない。でも義男は福子が好きなんだというただ1点だけ理解したまま、めくるめく展開に再び身を委ねてみるのも面白いかもしれないと思った。
*1:原作漫画で描かれているのはこの部分らしい