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飛行船シアターに降る雪︰スタリラ朗読劇「追奏~Session of Reminiscence~」感想

12月4日に開催された「少女☆歌劇レヴュースタァライト -Re LIVE- Reading Theatre 第2弾『追奏~Session of Reminiscence~』」を観た。

せつないストーリーにしんみりするとともに、生演奏との一体感や粋な演出など、見どころがたくさんあって面白かった。

毎度ながらスタァライト関連の現時点の履修度はこちら。

媒体 履修度合
舞台 「エーデル Delight」「中等部 Regalia」「Reading Theatre」は現地で、「#1 revival」「#2 revival」「青嵐」「#3 Growth」は配信で見た。
ライブ 劇スオケコンは現地で、シークフェルト伝説のしごきは配信で見た。
ネット番組 「え〜でるラジオ」「ラジオスタァライト」は毎週聞いてる。他の配信は見たり見なかったり
漫画 未読。
TVアニメ 全12話視聴済
ゲーム メインストーリー #16「Glittering Children」7話まで。
イベントストーリーはほぼやってる
スクールストーリー読了
映画 ロロロ、劇ス鑑賞済

少女☆歌劇レヴュースタァライト -Re LIVE- Reading Theatre 第2弾「追奏~Session of Reminiscence~」

revuestarlight.com

開催概要

開催期間2022年12月3日・4日
昼の部︰14:00 夜の部︰18:00
場所飛行船シアター
チケット7500円
配信:3500円
脚本江嵜大兄
演出江嵜大兄
出演者
(敬称略)
12/3︰小山百代 岩田陽葵 富田麻帆 生田輝
12/4︰小山百代 佐藤日向 伊藤彩沙 生田輝
楽器演奏︰furani、emyu:/梶原圭恵、鈴木睦美、菅野太雅
感想ハッシュタグネタバレ有︰#追奏感想
ネタバレ無︰#スタリラ朗読劇

朗読劇70分、アフタートーク30分。休憩なし。

朗読劇シリーズ化第2弾

今年よりシリーズ化されたスタリラ朗読劇。

6月に上演された「田中ゆゆ子の古典落語劇場」に続く第2弾である。

www.yururito.net

今回は聖翔音楽学園のメンバーで構成されたオリジナルストーリー。

以下のあらすじと、登場人物説明が事前に公開された。

華恋が戯曲資料庫で見つけた一冊の脚本。

タイトルは『追奏~Session of Reminiscence~』。

上演記録が一切ないその脚本は聖翔音楽学園の卒業生が書いたものだった。

とある高校のオーケストラ同好会の物語──。

脚本に込められた作者の想いに触れた華恋は、定期発表会での上演を決意する。

会場・座席について

おなじみ飛行船シアター

会場はすっかりおなじみとなった飛行船シアター。もう何度目だw

先日の中等部舞台では物販・有志による垂れ幕・中等部活動紹介やキャラクターパネル展示など会場内が賑やかだったのだが、今回は物販のみで割と簡素な感じだった。前回の朗読劇と似た雰囲気だ。

来年上演されるスタァライト新作舞台の主題歌「綺羅星ディスタンス」の告知ポスターが飾られていた。

綺羅星ディスタンスの告知ポスター

前回の朗読劇では新グッズがなかったのだが、今回は2種存在していた。チケット風アクキーは会場販売分は売り切れていたが、ゆゆ子劇場の複製台本は購入することができた。

ゆゆ子劇場の複製台本

なお、会場入口で配られたのは劇中で演奏されるある楽曲のスコアだった。作曲者として華恋演じる心音の名が記されている。開演前、それをパラパラとめくり、ふぅんと閉じる。音楽に精通していない自分は、ここに貼られている伏線に何も気づかないのであった。。

会場で配られたスコア

座席は1階後方席。センターだったので見晴らしはよかった。が、しかし、よりによって私の真ん前の男性が頭一つ出ている…嫌な予感は的中し、千弦役の純那(ステージ左から2番目)だけがいくら頑張っても全く見えないという憂き目にあった。。

スタリラ朗読劇(2日目昼公演)の感想

※ここからネタバレ注意!

会場では心地よいBGMが流れていた。これが眠気を誘うw

やがて、華恋の影アナ。最後の「ちゃんと言えた~」が可愛い。演出の特殊効果について、人体に影響はないとか衣服にシミは残らないとかアナウンスしてるが、何をするつもりなんだろう?と思った。

そして開幕。聖翔音楽学園の定期公演という形で演目が上演される。4人で前説をしてるはずが脱線し出して双葉に軌道修正されるひと幕もw

キャストは以下の通り。役者は左から真琴、千弦、心音、響子の順で、奏者の並び順はその逆になっている。制服の上に着ているセーターの色は華恋が白、他の3人はそれぞれキャラのイメージカラーとなっていた。

登場人物 12/4役者 12/4奏者
雪平心音/1st Violin 愛城華恋(小山百代) 梶原圭恵
伊福部千弦/2nd Violin 星見純那(佐藤日向) 鈴木睦美
黛 響子/Piano 花柳香子(伊藤彩沙) furani
久石真琴/Cello 石動双葉(生田輝) 菅野太雅

朗読劇という上演スタイル

朗読劇なので、キャストはその場から基本的に動かない。ステージをあちこち動かないぶん、より表情の変化に注目しながら観ることができる。

序盤では皆に心配かけまいと気丈に振る舞う心音が、真琴に病気のことを訊かれるくだりで「お母さん、話しちゃったんだ…」と表情を曇らせるところが印象的だった。

また、パタリと倒れる描写や、部屋の出入りなどは音と照明で表現。場面に「いない」役者は暗くなる。演奏シーンでは奏者側にスポットが当たる。役者と奏者が二人一役を演じており、ステージにはオーケストラ同好会の4人が目に浮かぶようだった。

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「舞台少女」が役を演じる

「小山百代が演じる雪平心音」ではなく、「(小山百代が演じる)愛城華恋が演じる雪平心音」だなぁと感じた。これは華恋に限らず全員、聖翔の舞台少女たちが役を演じている感じがした(これは後日別日のアーカイブを見てなおさら強く思った)。


愛城華恋 as 雪平心音

「この世界に流れる音を全部音楽にしたい」

オーケストラ同好会を作った張本人。自然の音や高まる気持ちを音楽にしてしまう天才肌タイプ。

実は先天性の難病を患っており、自分に残された時間があまりないことを悟りつつ、余計な心配をかけまいと明るく振る舞う。

序盤の「やれるときにやっとかないとね…」で不穏な感じだったが、まさかそんな早く死んでしまうとは…。。直前のシーンで「死なないよ」と千弦に言ったばかりなのに…でも、実際に人が死ぬときというのはこんな風にあまりにもあっけないのだろう。

”理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取つて、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。”

終盤の「山月記」の引用から、自分が死んだ理由なんてものは無いんだと悟るくだりは切なかった。まだまだ若いのに、作りたい音楽がたくさんあっただろうに…

星見純那 as 伊福部千弦

「お願い…死なないで…」

心音の親友。心音の影響でバイオリンを弾き始め、2ndとして心音の伴奏をしているときが何よりも幸せだと思っている。

心音の死後、夢の中で心音に会えるようになり、辛い現実や将来への悲観から夢の中で生きようと強く思うようになる。

千弦は感情の振れ幅が凄かった。同じ同好会メンバーとはいえ、心音といるときの距離感と、真琴響子に対する距離感はかなり違う。心底心音が大好きで、誰よりも心音のことを心配していたんだなぁというのがひしひしと伝わる。

それだけに、心音と会うために夢に溺れがちになっていく危うさ、「私のこと頭がおかしくなったと思ってるんでしょう!!」と真琴たちに激昂するくだりなど、見てるこっちも辛かった。

心の拠り所を失い、未来に希望が抱けず、「いらない!こんな人生!!」と心音に言い捨てる千弦。一方で心音は生きたくても生きられなかったわけで、でも千弦の将来を想像して楽しそうに話す心音がいて、なんかこう…互いの思いが交差する感じがやるせない。

心音が消えたあとの「まだ…まだ話したいことがたくさんあるの…」と声を詰まらせるところも切なかった。

花柳香子 as 黛響子

「地球は…歌ってないの」

作曲家を目指すストイックなピアニスト。努力家タイプで優秀だが、心音の天性の才能には敵わないと感じている。落ち着きを払っているが、パンダのキャラクター「だるぱんだ」が好きという女子高生らしい一面も。

心音が自然の奏でる音を聞いて「地球が歌っている」と表現していたが、響子は心音のような自由な曲作りはできなかった。心音にはもうずっと追いつけなくなってしまったと嘆くところがせつなかった。

香子が標準語を喋っているのが珍しいが、ちゃんと香子が演じる響子になっていた。真琴との掛け合いが多く、ふたかおの息の合った感じとリンクした。

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石動双葉 as 久石真琴

「私じゃ…お前の代わりは務まらないんだよ…」

同好会のまとめ役。思ったことはズバッと言う、しっかり者のリーダータイプ。心音の思いつきに振り回されつつも、心音が作ったオーケストラ同好会のことを大事にしている。心音の病気のことを最初に知った人物。

双葉って個人的に声がめっちゃ好みで、なので真琴のモノローグ多いのが嬉しかった。

心音の死を知るシーン、響子と共に演奏会のプランを話して盛り上がっていたところへ舞い込んだ訃報。そこから真琴のモノローグで、みんな心にぽっかり穴が空いたまま高校三年生になったことが語られる。「どうしたらいい!?」と心音に呼びかけるように訴える真琴の悲痛な叫び。あそこで見せる表情がせつない。

3人で奏でる「追奏」

響子が心音の母親から譲り受けた遺品のスコア。タイトルは「追奏〜Session of Reminiscence〜」。自分の追悼曲を書いたのかと思われたが、譜面をよく見るとそうではなかった。力強くて、眩しくて、希望にあふれている、心音から3人に向けた曲。この曲を完璧に弾けるように追いかけて、追いついてきて、というメッセージだと受け取った3人。

やがて、新入生歓迎会での演奏が始まる。心音を忘れないため、心音が作ったオーケストラ同好会をなくさないため、3人が「追奏」を精一杯演奏する。そこへ季節外れの雪が…心音が生前見れなくて心残りだったあの雪が…。そして、3人に聞こえてきたのは心音のバイオリン。

「高まってきたー!!」

心音の口癖が響き渡る中、3人の演奏は4人の演奏へと移り変わり、客席にははらはらと雪が降り積もっていく。舞い散る雪を見つめるキャストと美しい演奏が相まって、すごく印象的なクライマックスだった。

会場で配られたスコア

ここで、初めに会場で配られたスコアのことを思う。響子と真琴が演奏会のプランとして話していた「お客さんに心音が書いた曲のスコアを配る」「プロジェクションマッピングや特殊効果もつける」が実現していた。私達は聖翔音楽学園の定期公演に来た客だったと同時に、海鳴高校オーケストラ同好会の新入生歓迎会にいた客でもあったのだ。

名もなき先輩は今

「夢ってね、一人じゃ抱えきれない気持ちを忘れるために見るものなんだよ。心をリセットして、明日を生きていくために」

夢の中の心音が別れ際、千弦に言った台詞。この脚本を書いた聖翔の名もなき先輩はどういう気持だったのだろう。そしてどうして一度も上演されずに資料庫に埋もれていたのか。理由は語られていないし華恋たち4人にもわからない。

でも、この脚本をみつけた華恋たちは脚本に込められた想いに触れて上演することを決意した。これは劇中で響子が遺品のスコアを受け取り、心音の想いに触れて演奏したこととリンクしている気がした。

華恋たちの上演を、名もなき先輩は観ただろうか。先輩の思いは、届くべき人に届いただろうか。そんな余白部分を考えたくなるような、良い朗読劇だった。

アフタートーク

もよちゃん自身も言ってたけどすごい潔く余韻ぶった切って始まったねwwwいきなり「ディスカバリー!」流れてああ、これスタリラだったわと思い出したw

アフトは九九組ならではのワチャワチャが楽しかった。以下箇条書きで。

  • もよちゃんの言語化上手すぎ問題。Wキャストの印象を暖色(まひる)と寒色(純那)と評したり、スタリラのキャラとして舞台の役を演じることを「自分の二枚先」と言ったり。

  • あけおめ双葉。オケコン欠席だったから、双葉として舞台に立ったのは今年はこれが初めてだったのね…でももう良いお年を、なんだよねw

  • 配信見てる都内の人に向けてメッセージ送る日向さんw夜公演、現地で見れるチャンス!

  • もよちゃんが物販のことに触れて、文字で読むとまた違った良さもあるので複製台本もぜひ!と言っていたが、物販で追奏は売られてないのよな…もしや後日販売予定あるのかなぁ?

発表された新情報はこちら。

  • スタリラ朗読劇第3弾 2023年春
  • 新曲「綺羅星ディスタンス」発売決定。カップリング曲は「キャラメリーゼフィナーレ」
  • 追奏の12/3・12/4両公演が特典映像として収録

スタリラ朗読劇(1日目昼公演・配信)の感想

登場人物 12/3役者 12/3奏者
雪平心音/1st Violin 愛城華恋(小山百代) emyu:
伊福部千弦/2nd Violin 露崎まひる(岩田陽葵) 鈴木睦美
黛 響子/Piano 天堂真矢(富田麻帆) furani
久石真琴/Cello 石動双葉(生田輝) 菅野太雅

後日、12/3昼公演を配信アーカイブで見た。キャストが2人変わると同じストーリーでもかなり印象が変わった。Wキャスト、それぞれのアプローチが面白い。

露崎まひる as 伊福部千弦

まひるの千弦もよかった。純那版を先に見たけれど、本当に2人共それぞれの千弦を演じきっていて凄い。

華恋のそばにいて、ずっと近くで華恋を見てきたまひるだからこそできる距離感というか、ただのまひるの延長ではないながらも、「まひるが演じる千弦」という色が出ている。

夢で心音に会ってることを打ち明け、真琴の反応を見たときのあの諦めに似た表情もよかった。

天堂真矢 as 黛響子

真矢の響子は香子とまた色が違った(もよちゃんの言う暖色・寒色)。大人びた女子高生感が漂うとともに、心音の才能を認めつつも勝てない悔しさを内に秘め、自身で葛藤しているような繊細さを感じた。

「地球は…歌ってないの」と嘆くところで真琴が励ますシーン、ふたかお版も良いけど双葉真矢の組み合わせも良かった。

まとめ

スタリラ朗読劇、第2弾もとても面白かった。配信で繰り返し見れば見るほどストーリーが沁みた。

スタリラで見る「キャラクターが他の役を演じる」さまを、中の人が観客の目の前でで行うライブ感。とても面白い試みなので第3弾も楽しみにしている。

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▶第3弾

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