「劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal〈前編〉」が1月8日に公開された。
この令和の時代に、ついにセーラームーンがスクリーンに蘇ったのだ。長年のファンとしてはとても嬉しく心躍る瞬間だった。
有休をとって初日に観たのだが、色々な感情がせめぎあいうまく言葉にならなかった。
その想いを少しずつ、ここに書いていこうと思う。
劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal
「劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal」は、TVアニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal seasonⅢ」の続きにあたる劇場版2作品。
セーラームーンの劇場作品は「美少女戦士セーラームーンSuperS セーラー9戦士集結!ブラック・ドリーム・ホールの奇跡」以来25年ぶり。特報のキャッチコピー「月の光は時を超えた愛のメッセージ」がグッとくる。
しかし2020年9月11日公開だった〈前編〉は、コロナ禍で2021年1月8日に延期された*1。年末辺りからプロモーションが活発になる*2中、皮肉にもこの前日に2度目の緊急事態宣言が発令されてしまう。幸い2度目の公開延期とはならずに済んだが、早めに観ておこうと思い公開初日に合わせて有休をとった。
あらためて原作第4部を読み返し*3、先日買ったばかりのセーラームーンバッグで長女と観に行った。
セーラームーンEternal〈前編〉の感想
※一部で原作のネタバレ、及び映画のネタバレがあるので注意。
セーラームーンとしては珍しい「原作の忠実な映像化」
ストーリーはほぼ原作そのままである。漫画で読んだあのコマやこのコマが、ちゃんと映像として再現されている。
今でこそ原作に忠実なアニメ化というのは珍しくないのかもしれないが、「美少女戦士セーラームーン」にとっては極めて稀な方だと思う。
1992年の放送当時、月次の漫画連載と週次のアニメ放送が同時並行だった。大まかなストーリーはリンクしつつも、進行ペースも話数もなんなら一部設定も異なる。それゆえ原作とアニメは「別物」として楽しむことが自然だった。だからここまで原作に忠実なのは、かえって驚く。
「Eternal」は原作準拠のアニメ化「Crystal」の流れをくんでいるから当然といえば当然だが、Crystalだって完全な原作準拠とは言い難い部分が所々ある。Season3はともかく、それ以前は微妙なアニオリ展開などもあったのだ。今作はそういう蛇足的なものがなく、原作ファンとしてはすごく嬉しい。
特にギャグコマのような細かな部分も丁寧に再現してくれたような気がした。
綺麗な作画で蘇る名シーン
事前に公開されていた静止画のキャラデザは、実は正直そこまでピンと来ていなかった。でもアニメで動くのを観たらさほど気にならなくなった。さすが只野さんというか、昔の作画も味があるのだが、そこを織り込みつつ今風に洗練された作画もとても良い。特に衛(ヒロイン)が終始カッコよい。なにより私服がダサくないw*4
今作の肝であるちびうさとエリオスの作画も素晴らしい。エリオスにキスされるちびうさの名シーンも映像・演技ともに満足度が高い。うさぎとちびうさの「逆玉」*5もすごく可愛くできている。
全体的に旧作アニメのリスペクトを感じた。特に変身シーンはかなり旧作に寄せており、もう少しアレンジしてもいいのになぁと思ったけど、4戦士の新必殺技は良かったと思う。
アニメ化を果たした原作キャラクターたち
原作にしか登場しなかった数々のキャラクターが、今作でついにアニメ化を果たした。
- 亜美の両親
- ガーディアン・マーキュリー
- フォボス&ディモス(人間態)
- ガーディアン・ジュピター
- ゼオライト&ゼノタイム
- アルテミス(人間態)
アルテミスもついに人間態に!個人的にあの美奈子のエピソードはすごく好きだったのでシーンも作画も原作通りでよかった。アルテミスはロン毛なんだ!って読んだ当時驚いたのを思い出した。
しかしゼオライト&ゼノタイムのいかにもモブ敵っぽい作画までそのままアニメになるとは…w
ここまで忠実だと、もう後編でセーラーカルテットが出ることは確約されたも同然だな…と思って嬉しくなった。
原作準拠ゆえの物足りなさも
ただ、原作に忠実なので展開がとても早いのだ。あまり本筋に影響しない一部のシーンは削られている*6ので、さらにスピーディーに事が進む。
原作読み返してから観に行ったからか、ものすごく原作通りに話が進むので「そうそう!」と思う反面「でも少しオリジナル要素盛り込んでもええんやで」とも思ったり。
— しゃとーぶりあん🐻🐟💛6/9セラコス🌙6/10中等部Rebellion (@oniku_daisuki) 2021年1月8日
でもCrystal1期のオリジナル展開みたいなのは求めてなくて、うーんわがままw
重ねるけどホークスアイよかったよう。
鑑賞者の多くが原作既読組だろうし、展開が早くても要所要所は押さえているから問題ないのかもしれない。実際、初見の長女も普通に楽しめていた。
だがここで、漫画のアニメ化で起こりがちな「物足りなさ」も少々感じてしまった。私が原作を頭に叩き込んでしまったせいかもしれないが、漫画で触れられてない部分をアニメで補完してほしい気持ちもあった。後述するが今作にそういう補完要素が全く無かったわけではない。ただ、もう少しあってもよかったかな…くらいの個人的なわがままであるw
アニオリというのはやりすぎると蛇足になるが、やらなすぎてもそれはそれで物足りなく感じるので塩梅が難しいところだなぁと思った。
補完されたアマゾン・トリオの存在感
今作のメインとなるアマゾン・トリオ。とはいえ出番は非常に短い。これも原作通りで、アマゾネス・カルテットによって人間態を得た*7かと思えばそれぞれ1回きりで倒されてしまう、いわゆるザコ敵なのである。
そんな彼らだが、旧作アニメでは前半の敵幹部として約半年(22話分)に渡って登場し、様々なアニオリ展開*8から独特の存在感を放っていた。なかなか斬新でアクの強いキャラクターだったこともあり、人気も根強い。
そんな旧作アニメと原作のギャップを今作でどうするのか気になっていたのだが、出番は短くても結果的にいい感じになっていたと思う。
特に良かったのがホークス・アイの最期。セーラージュピターに一言残して散るシーンは映画オリジナルだ。これがあったことで、どこか憎めない・決して絶対悪ではない旧作アニメの要素と少しリンクしたような気がした。
原作でもホークス・アイはお店を構える。まことを誘い込むための作戦とはいえ、キラキラした目で夢を語るそのさまは結構本気である。おそらくそこを踏まえての追加シーンだったのだろう。パワーアップしたスーパーセーラージュピターに問答無用で倒される原作に比べると、少しばかり切なさを残すラストとなった。
後編も楽しみ
エンドロール後、意味深なほたるの独唱で終わった前編。
いよいよ外部太陽系戦士の合流から始まる後編だが、予告映像を観るだけでも期待が高まる。
個人的にラストの描写が一番好きなのが今回の第四部なのだ。だからこそ後編も、できる限り劇場で見届けたいと思う。
▼後編の感想も書きました
▼続編Cosmosの感想はこちら