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最後のアレが気になってしょうがない︰舞台「『Dancing☆Star プリキュア』 The Stage」(ぼくプリ)感想

Dancing☆Starプリキュア The Stage

ぼくプリ、蓋を開けてみれば普通に面白い舞台だった。まどマギを彷彿とさせる要素や設定が見え隠れしつつ、ちゃんとプリキュアっぽさも感じた。

「『Dancing☆Star プリキュア』 The Stage」(ぼくプリ)

開催概要

www.marv.jp

開催期間東京公演︰2023年10月28日〜2023年11月5日(全13公演)
大阪公演︰2023年11月10日〜2023年11月12日(全5公演)
場所東京公演︰品川プリンスホテル ステラボール
大阪公演︰サンケイホールブリーゼ
チケットS席︰11000円
A席︰8800円
配信全景映像(11/5昼)︰2800円
スイッチング映像(11/5夜・東京千秋楽)︰3800円
全景映像+スイッチング映像セット︰6100円
スーパーバイザー鷲尾天
脚本・演出ほさかよう
出演者
(敬称略)
田村升吾 滝澤諒 森田桐矢 寺坂頼我 小辻庵
和合真一
平松來馬 TAISEI(G.U.M)
伊藤裕一
大澤信児 川北和郁 大津夕陽 大津朝陽 安久真修 高橋陸人 Kodai Harada 平井颯太

激震が走った「プリキュア初の舞台化」

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4月28日に突如発表されたプリキュア舞台化の報は、ネットに激震が走った。オリジナルキャラクター、しかも全員男子とあって、それはもう賛否両論巻き起こった。

ハトプリからハマり、アニメも映画も全シリーズ履修済みの私ですら、この一報には衝撃を受けた。それはちょっとどうなの…?と懐疑的であった。

www.yururito.net

会場・座席について

ステラボールは二度目の来訪

会場は品川プリンスホテル内にあるステラボール。そう、以前私がセラミューフェスで屈辱を受けた、あの因縁の場所である…。

www.yururito.net

今回は舞台だが、ライブパートがある可能性だって十分ある。あの会場でスタンディングされると市民権を失うことを危惧した私は、あえてS席を購入した。

しかしいざチケットを発券すると、一般的なステラボール座席表にない「O列」という表記。これは公式サイトに載っていた本公演の座席表と照らし合わせると、なんと後ろから2列目なことが判明した。終わった…。

ところが実際現地へ行ったところ、I列〜P列までは雛壇となっており、かなり高みから見下ろせる感じに。前列の観客の頭も全く邪魔にならず、とても快適に鑑賞することができた。これはよかった!

ぼくプリ(10月29日昼公演)の感想

これまで1年ごとに脈々と受け継がれてきたプリキュアの系譜。元々知られているシリーズの舞台化ならまだしも、全くの新キャラのみで構成される舞台だ。新しいキャラクター、新しいストーリー、それをたった2時間半の舞台で描く。観る前は楽しみと不安がそこそこ入り混じっていた。

多少のツッコミどころはあれど、舞台そのものは面白かったしプリキュア要素もあった。今のところ「これはプリキュアなのか?」という問いに100%肯定はできないものの、「男子高校生を舞台でプリキュアにするとこうなる」の最適解を見たような気がした。

垣間見えるプリキュア様式美

主人公・星河楽が声を発した瞬間、第一印象こそ「うわ、チャラいw」と思ったのだが、見ているうちに"愛すべきバカ"(褒め言葉)なんだなぁと思い直した。さらに、

  • ひょんなことから妖精パドドゥとぶつかる
  • 巻き込まれて言われるままにプリキュアに変身
  • プリキュアの姿や自身が発したセリフに戸惑う
  • パドドゥによる状況説明(しかし全く頭に入ってこない)

といった、プリキュア初回あるあるが散りばめられている。

また、初めて変身したあとの「ありえねぇ…」は、なぎさの口癖「ありえな〜い」を想起させた。ここからオープニングが始まるのも良い。

舞台での変身シーンが面白い

舞台上で変身するのはセラミュでも見てきたが、プリキュアのそれも工夫を凝らしていてよかった。特にキュアトップ、キュアロックの初回変身はそれなりに尺をとっていたように思う。

変身のポーズを取ったあと、本人を覆い隠す可動式衝立。そこにはプリキュアの変身バンクによくある、シルエットのような変身モーション映像が流れる。映像だけでなく、途中で見える変身中の姿やアンサンブルが周りで表現するエフェクトなども相まって、舞台で踊りながら変身する過程を楽しめた。

しかしトップ〜ロック覚醒までにかなり尺を使っていて、この調子であと3人やるの?と思いながら観ていたら、なんとキュアソウル・キュアカグラ・キュアブレイクの3人は以前からプリキュアとして活動していたと判明する流れに。主人公覚醒以前からプリキュアがいたシリーズはある*1が、時間制約のある舞台にこの手法はなるほどなぁと思った。

最後のバトルで5人並んで変身する*2ところはとても綺麗だった。キュアカグラの和傘エフェクトもなかなか好き。

それぞれのキャラの関係性が良い

高校生5人はプリキュア5みたいな2-2-1の年齢構成である。3学年に跨がる5人の関係性が良かった。

楽(トップ)・颯斗(ロック)︰幼馴染の高2コンビ。底抜けに明るい楽に世話焼きしてる颯斗の構図。ボケとツッコミ、のぞみとりんみたいな。ダンス部のテストに遅れている楽のためになんとか時間稼ぎしようとする颯斗が健気。颯斗のダンスを見て自分もダンスをやりたくなったと言う楽、颯斗が挫折しかけたところを救い出してキュアロックになるところが*3良かった。

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爽々奈(ソウル)・晃雅(カグラ)︰ダンス部の部長・副部長を務める高3コンビ。誰にでも優しさを振りまき独特のカリスマ性を纏う爽々奈に対し、神社の家系だがかなり口が悪く指導も厳しい晃雅。皆から畏れられる対照的な2人だが、2人きりで話しているときの互いに信頼し合ってる感がなんか好き。てか既にプリキュアだったんかーい!

颯斗(ロック)・舞人(ブレイク)︰中学時代から天才と評された者同士。互いにその名を知ってはいたようだが、颯斗があのときよりもダメになってるのを見て拍子抜けする舞人。舞人は最年少の高1だけど、先輩にも物怖じしない一匹狼タイプ。自分のせいで一般人を巻き込んでしまったことを悔いてダンス部やプリキュアから離れたが、楽と颯斗に半ば強引にダンスバトルを持ちかけられて徐々に絆ができていくのが良かった。

他にも晃雅と舞人、晃雅とパドドゥなどところどころで良いなぁ…と思った瞬間があったのだが、これは千秋楽アーカイブで思い出そうと思う。

シリアスなストーリー

元々大人ターゲットの舞台なこともあってか、ストーリーは結構シリアスだった。

プリキュア以外のメインキャスト、バスケ部の蛍と充、そしてダンス部顧問に新しく赴任する元ダンサーの室井。この3人がストーリーを大きく動かす。

自分勝手な判断で充を巻き込み怪我させてしまったキュアブレイク、その怪我で代わりにレギュラー入りした蛍を心から喜べない充、充の才能に嫉妬し復帰を恐れこのチャンスを逃すまいとする蛍、すれ違う気持ちがなんともツラい。

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そして怪しさ満点の室井先生がほんと凄くて…。突如ダンス部に現れ後輩部員たちを懐柔し、ここぞというところで「ナンセーーンス!!」などと高らかに叫び舞台を引き締める。全員が「公平に」という名目でレベルの低い人に水準を揃え、軍隊よろしく揃った動きしかさせないダンスは不気味ささえも感じた。

正体を現した室井先生=コレオグラファーにも悲しい過去がありいたたまれないものがあった*4。絶望は消せない、とはGoプリでもあった展開だが、絶望を受け入れたうえで他の人も絶望へ引きずり込もうという選択をしてしまったのがなんとも悲しい。

闇のリズムを光のリズムに塗り替えたトップが、自害しようとする彼に「俺達のダンスを見に来てよ」と誘うシーンはなんかよかった(語彙力)

パドドゥがいろんな意味ですごい

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そしてなんといっても妖精パドドゥよ…可愛いとか言ってたら最後にしてやられたよ…

人間態をおっさん呼ばわりされて「おっさんじゃねぇ!!」と怒ったり、一回じゃ理解できなかった楽に高速で説明リピートしたり、メタ発言やアドリブなどことあるごとにステージの笑いを誘ってきたパドドゥ。

事件もいったん解決し、5人のダンスステージで大団円…と思わせといて最後にしれっとヤバいものをぶっ込んできた。

絶望を増幅させることで浄化したときのエネルギーを効率よく回収するとかなんとか言ってたな??

まさかキュゥべえ的なあれか…??

室井先生をコレオグラファーにした*5のもまさかパドドゥの仕業なの??

そうなると楽と出会ったのもわざとなのだろうか。これもう一度頭から見返したらパドドゥの印象変わりそう…

プリキュア史において妖精が黒幕パターンはなかったはずで、これは男子プリキュアよりも衝撃的だった。楽しそうに踊る5人のダンスを見ながら、やべーよこれいつかプリキュアたちに目論見バレて対峙する日も来るのでは…なんて思った。次回作まだですかね…。

まぁ願いを叶えるためにあれ(名前忘れた)を集めてる、とは最初に楽にも説明してたし、そのパドドゥが叶えたい願いが何かにもよるが…。パドドゥはバレエを踊れること、かつて相棒がいたことをしれっと言ってたけど、もしかしたら相棒絡みの願いなのかもしれないな…パドドゥって2人で踊るバレエだからね…。*6

その他

  • 「会社に行きたくない!」ってイビルダンサーになった会社員、わかるわぁ…
  • パドドゥ妖精態の操演も可愛かった
  • ロックダンスのロックってlockなんだ。爽々奈の説明にへぇ〜ってなった。
  • 回替わりらしい楽の遅刻理由「間違えて天王洲アイル行っちゃって」すかさずツッコむ颯斗「それ銀河(劇場)…」
  • 神社の息子な晃雅の「色々大変だった」話もいつか描いてほしい
  • ブレイクに何があったかを2人に語る部長、マミさんのお茶会?
  • イビルダンサー(だっけ?)あの高さから降りるのすごくね?
  • 室井先生ギラギラしてて好きだわ〜ビジュ良き…
  • 光のリズムに塗り替えていくところももちろんだけど、とにかく色んな場面で踊ってて総運動量やばいな…

まとめ

というわけで思いのほか楽しめた「ぼくプリ」。最後のパドドゥに全部持ってかれたが、こういう新しいプリキュアの形も悪くないなぁと思った。

次回作あったら行く…!

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*1:ハトプリ、ドキプリ、ハピチャなど

*2:4人を助けに入ったキュアブレイクは既に変身してたのでは…?と思ったが細かいことは気にしないことにするwステージショーみたくコスチューム着てても"変身前"扱いだったのかもしれないし。千秋楽アーカイブで確認する

*3:> 「お前は俺に夢をくれた。今度は俺の番だ。お前が夢を持てないって言うなら俺が一緒に探す。未来がないって言うのなら、俺の未来にお前も一緒に連れてってやる、俺ら2人の夢は世界一のダンサー、2人でヒーローになるんだよ!」

*4:すごく印象的なセリフがあったのだが忘れた。。千秋楽アーカイブで確認したい→(追記)これだったかな「ご都合主義や綺麗事で絶望は消えない、夢を失ったという喪失感は誰にも癒せない…一度絶望に落ちたものは二度と希望を抱くことはできないんです」

*5:室井先生消される寸前「まさかあのときの…!」ってセリフがたぶんそれか?

*6:プリキュア妖精あるあるの名前絡みの語尾だけど、パドドゥに関しては「パド」「ドゥ」って2種使ってるのもちょっと気になってる。今はいない相棒の分も自分が担ってるとか、そういう匂わせ?