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「劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編]僕は君を愛してる」感想

今回も公開翌日に鑑賞

前編からおよそ3ヶ月。待ちに待った後編を観てきた。

「きっと何者かになれる」そのメッセージが響くラストだった。

www.yururito.net

「劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編]僕は君を愛してる」

作品情報


公開日2022年7月22日
上映時間142分
監督幾原邦彦
キャラクター原案星野リリィ
キャスト
※敬称略
木村昴/木村良平/荒川美穂/三宅麻理恵/石田彰/能登麻美子/堀江由衣/小林豊/豊崎愛生/上坂すみれ
公式サイト劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』公式サイト

入場者特典は桃果とプリンチュペンギン

コロナ第7波での公開

22日に公開され、23日の朝にさっそく観てきた。しばらく下火になりつつあったコロナ感染者数が7月上旬から再び急上昇し、あっという間に過去最多更新、第7波に入った渦中での公開。

私は感染予防のため劇場のすみっこの席をとり、マスクはしたまま飲み食いを一切せずに観て、終わったら寄り道せずまっすぐ帰った。

ちなみに24日の舞台挨拶ライブビューイングは元々予定があったので観に行けなかった。登壇予定だった晶馬役の木村良平さんは、コロナ感染のため欠席していた。

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作品の感想(ネタバレ注意)

今回も一度しか観ていない状態での感想のため、細かい点で多少の記憶違いはあるかもしれない。できればもう一度観にいきたいと思っている…

新規映像で彩られるOP

いやもうびっくりしたのがこれ。OPあるんだ!っていう。しかも曲は「僕の存在証明」。


てっきり「僕の存在証明」はラストに来るものだと思ってた*1から、序盤から完全に不意打ちを食らった。

しかもOP映像もド新規。TVシリーズの1クール目OP「ノルニル」、2クール目OP「少年よ我に帰れ」の映像とテイストが似ているのもアツい。

これを序盤に魅せられてああ、やっぱり観に来てよかったなぁと感じた。

濃密なシリアス展開

今作はTVシリーズの13〜24話を再構成している。16年前の事件、ゆりの過去、多蕗の過去、こどもブロイラー等々、重たいストーリーが続く。

劇場版ではギャグパート等を削り*2これらをぎゅっと凝縮させているので、元々ハイカロリーな展開がさらにハイカロリーになっていた印象。

しかも後編は前編より20分ほど長い142分。かなり濃密である。むしろオリジナルパートも加えてよくここまでまとめたな…とも思った。前編同様、キャラクターごとの章立て(眞悧→苹果&晶馬→ゆり→多蕗)があるのでTVシリーズより見やすくなっていると思う。

後編でも実写パートは中盤あたりに流れる。「だから私のためにいてほしい」*3という字幕とともに、省庁など都市の中枢部が映し出される。「さらざんまい」EDでも思ったが人っ気のない夜の街の無機質な美しさを感じた。

怒涛の展開のあとにくる実写パートはちょっと箸休め気分にもなれるが、このあともさらに怒涛の展開を迎えるのでその心の準備にもなった気がするw

きっと何者かになれる

そらの孔分室で起きていることを除けば、「カエル君ピングドラムを救う」の結末はTVシリーズと同じである。TVシリーズはあの24話でもって綺麗に終わっているので、そこの結末が同じであることに少しホッとした。

”運命の子供たち”冠葉・晶馬に課せられたミッションである「運命の乗り換えを完了させる」「運命の輪を閉じる」「なすべきことをみつけ世界を救う」、これらをどう成し遂げるのかが気になるところだった。細かいところまではちゃんと覚えていないけれど、2人はあの本を読み返したことで自分たちが陽毬のお兄ちゃんだと自覚し、プリンチュ眞悧の揺さぶりに勝った。何者かになった。

あと、私は少し勘違いをしていた。前編を劇場で観たときプリンチュペンギン=眞悧かと思っていた*4のだが、ピングフォースステッカーが本体だったのか…。プリンチュペンギンから剥がされてあっけなく飛んでいったときの「だよね」が切ないw

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あとこれも見落としていたんだが、TVシリーズ23話アバンで呪文を唱えている桃果のおでこに貼っていたのがピングフォースステッカーだったのだ。シーン自体は覚えていたが細部まで気にしてなかった。。呪いで相手を封じ込めるアイテムとしてTVシリーズで既に登場していたのね。

桃果と眞悧の関係って白と黒、希望と絶望みたいな、表裏一体な関係性なのかなってあらためて感じた。撃退されるけど消滅はしない存在というか。今回のプリンチュペンギン乗っ取りや冠葉・晶馬への揺さぶりも桃果にとっては「またかよ…」みたいな雰囲気で、いったん追い出すけどまたいつかまたやってくるかも…そんな印象を受けた。この世界*5も廻り廻っているのだろうか?こんなやりとりを形を変えながら繰り返しているのだろうか。

ともかく、運命の乗り換えをした際に3号があのぬいぐるみと共に梱包されていき、兄がいない世界の陽毬がぬいぐるみの中に入っている手紙をみつけるくだりが、展開をわかっているにもかかわらず泣けてきた。劇場版で補完されたような、そんな気がした(一度観ただけだと細かい記憶がぶっ飛んでいる)。また、そらの孔分室から出た2人は以前よりもやや大きい状態で歩いている…というのも廻り廻っている感じがした。

ラスト、子供姿の登場人物7人による「愛してる」は正直驚いた。色々な背景をもつ子供たちがそれぞれ口にする「愛してる」、これは各々が想う相手に言っているのか、それともスクリーンの先の我々に言っているのか。メタ的なものにも感じてちょっと戸惑ったが、美しい締め方にも感じた。「きっと何者かになれる」…最後に出たメッセージもズシンと響くのだった。

まとまらないまとめ

やはりピンドラは奥が深すぎて言語化にかなり苦労するうえ、なかなか上手くまとまらない…

でもこの作品が大好きだということは今回あらためて感じたし、よくわからないけどなんか良い、何度も見てしまう魅力に溢れていた。TVシリーズ一気見したような爽快感と疲れが心地よかった。

ここ最近は劇場版のサントラをずっと繰り返し聞いている。もう一度観に行きたいな…円盤まで待てないんだ。。

*1:もちろんエンドロールにも曲は流れた。

*2:でも15話の温泉宿でゆりが苹果に迫るくだり全カットなのは残念wまぁたしかにあそこ丸々なくても支障ないもんなぁ。

*3:TVシリーズ18話のラストのくだり。

*4:前編が期間限定でレンタル配信しているのであらためて見返してみたら、ステッカーがプリンチュペンギンに向かって飛んでくるシーンがあった。完全に見落としていた…

*5:そらの孔分室とか運命の至る場所は、個人的にはこの世とあの世の間みたいな世界なのかなぁと思っている。